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法人様の事例紹介

言葉のセクハラ最高裁へ(後)~企業への3つの教訓~ 

2015年3月4日

2015年3月4日 読売新聞の記事です。

http://www.yomiuri.co.jp/job/navi/kaneko/20150302-OYT8T50200.html

 

この記事の前編(こちらをクリック)も含めて、セクハラ防止の観点から、お勧めの記事です!!

 

【引用はじめ】

言葉のセクハラへの対応の難しさは、今回の事件がもつれて最高裁まで争われたことからもわかります。

「言った」「言わない」の争いが証拠づける決め手に欠けることはもちろん、そんなつもりはなかったというものから、冗談という言い訳まであり、判断は困難を極めます。

こうしたことから、従来はこの種のことは訴えになりにくく、訴えになっても「あまり深刻に考えないほうがいい」とか「あの人には悪気がない」などとなだめられ、せいぜい「相手に注意をしておく」などの対応で済まされたりしてきました。

今回の最高裁の判決は、そうした現実に対して「たとえ言葉のセクハラであっても見逃しにしてはいけない」という警鐘を鳴らすと同時に、企業の厳しい取り組みの必要性を示すものといえます。

とはいえ、企業が言葉のセクハラに毅然とした対応をすることが難しいことは、依然として変わりません。そこで、今回の判決から企業対応のヒントを探ってみることにします。

1.禁止規定が決め手

今回の事件で企業が言葉のセクハラに対応できた(処分が認められた)最大の理由は、セクハラ禁止文書に禁止行為が明確になっていたことです。具体的には、<1>性的な冗談、からかい、質問<2>その他、他人に不快感を与える性的な言動<3>身体への不必要な接触<4>性的な言動により社員等の就業意欲を低下させ、能力発揮を阻害する行為等―が禁止規定に列挙されていました。

そして、これらの行為が就業規則の禁止する「会社の秩序又は職場規律を乱すこと」に含まれることや、セクハラの行為者に対しては、「行為の具体的態様(時間、場所、内容、程度)、当事者同士の関係(職位等)、被害者の対応(告訴等)、心情等を総合的に判断して処分を決定する」ことなどが明示されています。

まさに、こうした禁止対象や処分決定の手法が明確になっていることが、言葉を含めたセクハラへの対処のための入り口(根拠)となっていることがわかります。その意味では、こうした禁止規定等が言葉のセクハラに対応できるものになっているかどうかの点検(禁止規定の有無から内容まで)が大切です。

2.管理職は率先して取り組む責任がある

被上告人(男性)たちの「セクハラを認識・自覚する機会がなかった」という主張に対して判決は「職場におけるセクハラ防止を最重要課題と位置づけ、セクハラ禁止文書を作成してこれを従業員らに周知させるとともに、セクハラに関する研修への毎年の参加を全従業員に義務付けるなど、セクハラの防止のため種々の取組を行っていたのであり、被上告人らは、上記の研修を受けていただけでなく、上告人の管理職として上記のような上告人の方針や取組を十分に理解し、セクハラ防止のために部下職員を指導すべき立場にあった」として管理職の責任を強く指摘しています。

こうした判断には、管理職という職責にある者は、「認識することができなかった」などとする言い訳が許されないことはもちろん、「当然認識すべきであった」という強いメッセージがこめられていることが分かります。こうした点からあらためて、管理職には率先してセクハラ防止に取り組む責務があるとの自覚を促すことが必要でしょう。

3.女性目線で判断する

今回の裁判の隠れた争点でもあり、しかも最大の論点はセクハラを「どのような視点で判断するのか」ということがありました。そうした点から言えば、地裁の判断は「女性目線」であり、高裁の判断は「男性目線」であったということができます。

それは、判決文でも地裁は「一般的な女性労働者の感じ方に照らし」という表現で「強い不快感を与える」と評価しており、それに対して高裁は「一般的な職員の感覚に照らし」(男性も含めた)という視点で「許されると誤信していた」と判断しています。

今回の判決では「女性が被害者である場合には平均的な女性の判断によること」をあらためて明確にしたものともいえます。そこで、企業がこうした言葉のセクハラを判断するに当たっては、そうした視点(男性被害者の場合には平均的な男性)でジャッジするという考え方が必要です。

【引用おわり】