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事例紹介

「死んでしまえ」罵倒は続いた…パワハラ、労災認定の壁

2014年5月4日

朝日新聞2013年10月25日の記事です。

http://digital.asahi.com/articles/TKY201310250010.html?_requesturl=articles/TKY201310250010.html&ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201310250010

(引用はじめ)

パワハラはイジメです。

【牧内昇平】「何度も自殺を考えた。こんなに苦しんだのに、労災は認められない……」。勤めていた生命保険会社でパワハラ にあったと訴える埼玉県 の女性(30)は憤る。女性によると、勤務態度が悪い上司に改善を申しこんだところ、職場で嫌がらせを受けはじめた。

無視され、会議の日程を伝えられなくなった。一番苦しかったのは、2009年の冬。男性上司2人との面談があった。会議室に入るとカギを閉められ、激しく叱られた。上司は激高し、机をたたいて怒鳴ったという。「お前は無能だ。全社で使い物にならない。死んでしまえ」

1時間半ほど罵倒は続いた。会議室から出ても、「死んでしまえ」の声が頭をぐるぐる回った。自分の机に戻ると体が動かなくなり、社内で失禁した。部屋から一歩も出られず、病院で「うつ状態」と診断された。退職強要をくり返され、会社を辞めさせられたという。

被害をレポート用紙300ページ分の資料にまとめた女性は昨年2月、労働基準監督署 に労災認定を求めた。だが、労基署は「客観的な出来事として確認できなかった」として、請求を退けた。

女性は労働保険 審査会に再審査を求めている。「ここまで傷つけられて、許せるわけがない。パワハラ を否定する会社の言い分をうのみにする労基署にも、怒りを感じる」と女性は語る。

■息子が自殺、日記に「無視されて本当につらい」

「息子は職場での嫌がらせを苦にして亡くなったと確信しています」。山梨県 の芦沢ひとみさん(51)も、自殺した息子の労災が認められず、苦しんでいる。

電力会社 に勤めていた息子の拓磨さん(当時19)は入社2年目の11年6月、自宅近くの林で首をつって亡くなった。遺書によると、指導役の先輩男性から無視されていると感じ、悩んでいた。

〈私は無視されてから本当につらい日々を送ってきました。耐え難い苦痛でした〉

インターネット上の日記には、こう書き込んでいた。

〈以前のようなやさしく、面白い人に戻ってくれるなら土下座だってする〉〈自分の何が悪いのかわからない。何が彼を怒らせたのだろうか〉

ひとみさんは労災の認定を求めたが、手がかりは遺書とネット上の日記だけ。労基署は今年3月、「無視、嫌がらせがあった事実は確認できない」として、請求を退けた。ひとみさんは労基署の決定を不服として、再審査を求めている。

会社の広報は「社内調査の結果、パワハラ はなかったと確認された。ご遺族には今後も誠意をもって対応していく」としている。

■上司に怒鳴られうつ病、退職…それでも慰謝料30万円

過労で自殺した場合、労災認定の最大のカギは、働いた時間の長さだ。タイムカードやパソコンの記録で、勤務時間を示すことができる。

しかし、パワハラ の場合、「言葉の暴力」や「無視」など、記録に残りにくい行為の有無が問われる。2人きりで行われた場合、加害者が否定すれば、目撃者はいない。パワハラ 訴訟に詳しい笹山尚人弁護士は「労災認定は、過労死以上にハードルが高いのが現状」と指摘する。

会社や加害者を訴える選択肢もある。だが、笹山氏によると「パワハラ で自主退職した場合、被害者が裁判で勝ち取れる慰謝料は、現状では100万円が上限」。心の病にかかり、職も失った人たちの気持ちは晴れない。

東京都 内の元会社員の40代男性は、上司からパワハラ を受けて会社を辞めた。慰謝料をもらったが、弁護士費用などを除いて手元に残ったのは30万円だった。

「僕の人生は百八十度変えられた。それなのに、慰謝料はこの金額。絶対納得できない」。男性は嘆く。在職中、ひどい頭痛と吐き気に悩み、病院で「うつ病」と診断された。退職して3年以上たった今も、上司の怒鳴り声をたびたび思い出し、パニックを起こす。倦怠(けんたい)感が消えず、うつ病の薬を飲み、医者に通う。

病気が治らないので、アルバイトの仕事でがまんしている。70代の母と同居する。正社員で働いていた時に合計600万円あった貯金は、底をついた。「あのパワハラ 上司がいなければ、今もちゃんと働けているはずなのに」と思うと、やりきれない気持ちになる。「僕の人生を返してほしい」

(引用おわり)

最近は、うつ病自殺とパワハラの因果関係が認められ、損害賠償が認めれるケースも増えてきています。(ここをクリックすると、関連記事にいきます。)

少しずつですが、ハードルは低くなっていき、賠償額が上がる傾向も出てきています。ただし、それでもパワハラに対する賠償額は多くても100万前後です。

但し、徹底して退職強要やパワハラを継続して行う場合には、1000万近い賠償額が認められるケースがあります。(ここをクリックすると、関連記事にいきます。)