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事例紹介

「おい、服脱いで踊れ」 パワハラ深刻化、心むしばむ

2014年6月7日

10月4日 朝日新聞の記事です。

http://www.asahi.com/national/update/1004/TKY201310040008.html

(引用はじめ)

】「おいテメー、最近売り上げがねーな。テンション上げるぞ。服脱いで踊れ」

午後8時過ぎ。東京都 の男性(34)がオフィスで営業の電話をかけていると、年上のマネジャーが命令してきた。

30人ほどの同僚が残っているが、上司の命令は絶対だ。ためらうことなく全裸になり、机の上に乗った。命じられるまま、当時はやっていたロックバンドの歌を、踊りながらうたった。

同僚たちがどっと笑うと、男性もつられて笑った。「笑われるのはつらくなかった。怒られるよりは、こっちの方がずっと楽だった」。全裸で踊らされたことが何度もあったと、男性は振り返る。

当時勤めていたのは、東京都 に本社があるオフィス機器の販売会社。今まで取引がなかった中小企業に急に電話してアポイント(訪問の約束)をとり、コピー機を売る仕事だった。営業マン1人につき毎月4~10台の販売ノルマがあり、「ノルマをこなさなければ、人として扱ってもらえない会社だった」。

朝8時半に出社。朝礼で腕立て伏せ とスクワットをさせられてから、仕事が始まった。営業先のリストを見て、片っ端から電話をかけた。「間に合っている」と言われて、すぐに電話を切られる場合が多い。手をぬいていないか、マネジャーがずっと監視していた。

夕方になっても1件もアポが取れていないと、冷や汗が出た。マネジャーが怒り始めるからだ。

「なにポヤポヤやってんだよ! 電話離すんじゃねー」。怒鳴るマネジャーに、手と受話器を粘着テープで巻きつけられた。イスを蹴飛ばされ、テープを巻いた手で、立ったまま電話をかけ続けた。

午後10時。アポ取りの電話ができない深夜になると、マネジャーの前に正座させられた。「なんでアポ入らねーんだ。死にてーのか!」「仕事できねーやつだな。親の育て方が悪かったのか?」

長い日は午前1時ごろまで、マネジャーの説教は続いた。2004年に入社し、5年もたたないうちに過労とストレスで頭痛がひどくなり、退職を決めた。

大学を卒業後、フリーター をへて選んだのが、この会社だった。「数年間耐えられたのは、こういう働き方が社会人の常識だと思っていたから。マインドコントロールされていたんだと思う」

■労働相談内容で最多

職場の上下関係を利用し、働き手に肉体的、精神的な苦痛をしいるパワーハラスメント の被害が増えている。

厚生労働省 によると、12年度に全国の労働局に寄せられた相談のうち、「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は5万件を超え、「解雇」をぬいて相談内容別で最多になった。

職場のハラスメント研究所の金子雅臣所長は「過剰なノルマを設定され、成果が出ないと退職を迫られる。そんな余裕のない職場では長時間労働 が当たり前になり、人間関係がギスギスし、パワハラ が起こりやすい」と指摘する。

教育関連企業の営業職だった東京都 の40代男性は、退職勧奨 を断ったのをきっかけに、パワハラ が始まった。

「今日の会議、お前は来なくていいよ」。上司の言葉に、男性は耳を疑った。同僚が全員出席する会議に、自分だけ出させてもらえなかったのだ。07年のことだ。会議で出された新規の仕事は、すべて同僚に回された。「ふざけんな」。頭に血が上った。

前年から退職勧奨 を受けてきたが、仕事が好きだったので断ってきた。「自分の存在が否定された気分。仕事を奪われるのは、罵倒されるよりもずっと、きつかった」

追い打ちをかけるように、アルバイトが座る席への移動を命じられた。同僚の席とは数メートル離れ、上司の指示が聞こえない。男性が聞き耳を立てているのに気づくと、上司はその時だけ声を張り上げ、部下に語りかけた。「いつ誰があの席に行くか分からない。固定ではないぞ」

何もやる気が起こらなくなった。通勤中の駅のホームで、電車に飛び込むことばかり考えた。病院でうつ病と診断され、会社を辞めた。

別の会社に再就職した今も、当時の上司を殴りつける夢をみる。「せめて夢だけでも、いいじゃないですか」

(引用終わり)