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事例紹介

毎年10万人が介護離職、求められるケアハラ対応

2014年5月8日

介護2013年8月14日日本経済新聞の記事です。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0100E_R00C13A8000000/

(引用はじめ)

 

仕事と家庭の両立を認めないハラスメントを総称して、著者は「ファミリーハラスメント(ファミハラ)」と呼んでいる。ファミハラは、制度が充実する一方で、職場の風土が追い付いていかない「制度と風土のギャップ」から生じている。

 妊娠中の女性社員に対する嫌がらせや、育児休業取得を阻む上司など、ファミハラは様々。そこに最近加わったのが「ケアハラスメント(ケアハラ)」、介護責任を負う社員に対するハラスメントだ。

■介護を打ち明けると「管理職の椅子は降りろ」と説教され

 Bさん(50歳代の男性)は、親が要介護状態になり、「仕事との両立で不安をおぼえている」と、親しい同期社員に飲み会で打ち明けたところ、あっという間に噂が社内に広がった。途中で話に尾ひれをつけられ、「あいつは親の介護で仕事が手につかないそうだ」「管理職を辞めたいと言っている」とどんどん話が大げさになっていった。

 若くして管理職に抜擢されたBさんに昇進昇格で抜かれていた先輩たちの中には、もともと快く思っていなかった者もかなりいた。Bさんを呼び出して、「親御さんのことは気の毒だが、いずれ仕事にしわ寄せがいくのは確実だから、会社の利益を考えればいったん管理職の椅子は降りるべきではないか」と説教する者もあったという。

 最終的に、人事総務部門から呼び出され、「君があまり残業しないのは、親御さんの介護のためという噂が立っている。真偽のほどはいざ知らず、そういう噂が立つと夜遅くまで残業している部下に対して、示しがつかないから、残業しなくてもいい部署に異動してはどうか」と打診を受けた。

 猛反発して拒否したところ、しばらくして企業グループ内子会社に突然、異動させられた。Bさんは嘆息まじりに話す。「私ぐらいの年齢になると、サラリーマンの出世マラソンも最終コーナーなので、みんなうの目たかの目です。介護をきっかけに、足をすくわれるぐらいなら、社内で打ち明けなければよかった」

■働きながら介護をする人は290万人、50代の男性も介護担う

 2013年7月に総務省が発表した就業構造基本調査によると、現在、無職で介護している人は266万人。一方で、働きながら介護をしている人は290万人にも上る。一般的に、介護は専業主婦など、働いていない人が主たる担い手というイメージが強いが、実は介護をする人の過半数は働いているのだ。

 働きながら介護する人のうち、働き盛りの40代、50代の人は170万人と約6割を占め、その4割は男性。管理職として働きながら介護をする社員に限ると8割が男性だ。介護と仕事を背負い身体的・精神的に疲弊する社員は急増している。

 働いている人全体に占める割合をみてみよう。全体では4.8%にすぎないが、50歳代では1割を超えている

ところで、家族の介護をしている人は、育児・介護休業法の定める「介護休業制度」で、要介護状態の家族1人につき93日を上限に休むことができる。しかし、実際に介護休業を利用した人は約8万人と、介護をしながら働いている人の3%、要介護の家族を持つ人を分母とするとわずか0.9%にすぎない。また、介護休業の利用実績がある事業所もわずか1.4%にすぎない。介護休業以外の制度(短時間勤務、介護休暇、有給休暇など)を含めても利用者は約38万人、介護をしながら働いている人の13%にとどまる。

 制度はあっても利用されない理由は大きく2つある。1つは、介護休業制度の使い勝手の悪さ。家族に介護が必要だと証明せねばならず、しかも取得予定日の2週間前には申請しないといけないので、緊急で休みたいという時に使いづらい。もう1つは、職場風土だ。会社はチームで動いて利益を上げるところなので、「プライベートな事情を持ち込むな」という職場風土がまだ多くの会社に残っている。その結果、過去5年で介護・看護により離職・転職した人は約49万人。毎年、10万人もの人が介護を理由に職場を去っている状況だ。

■介護で離職した人のうち、再就職できた人はたった25%

 現在、無職で介護している266万人の中で、以前、介護休業その他の制度を利用したことがある人は2.6万人とわずか1%にとどまる。

 なぜ、制度を利用しないまま、離職に至るのか?

 育児や介護などで、働く時間や場所に制約を抱えている社員を「はた迷惑」な存在と白眼視するような職場は少なからずある。このため、家族が要介護になっても、「職場に迷惑をかけられない」「自分の代わりはいない」「制度を使ったら給料や昇進に響く」などと、介護していることを隠したまま頑張ってしまいやすい。

 介護は先が見えない戦いだ。平均で約5年。中には10年以上という人も1割強もいる(生命保険文化センター「2012年度 生命保険に関する全国実態調査」)。いつまで続くかわからない精神的な負担、介護と仕事を背負う身体的な負担を抱え込んだまま疲弊していき、燃え尽きてしまい、突然辞めてしまうのだ。

 その後、家族が亡くなったり、施設に預けることができたとしても、介護によるブランクや高年齢であることが再就職のネックとなり、職場復帰はかなり難しい。過去5年間で、介護を理由に離職した人のうち、再就職できた人は25%にすぎない。介護で離職したまま再就職できない人は過去5年で36.4万人と、年平均で7.3万人にのぼる(図3)。

■「介護社員」は、今後10年で2、3割まで増加する

 離職者が多く出た場合、企業は大きなダメージを受ける。離職者は、40~50歳代が多く、管理職となり得る世代が離職することによりマネジメントの停滞を招きかねない。業務経験を積んだ社員が離職することにより、若手社員の教育の担い手が減り、技術の断絶を生む危険もある。残された社員も「いずれ自分も介護と直面したら、仕事を辞めざるをえないのか」と不安が募ることになる。2012年の東京都の調査では「将来、仕事と介護の両立に不安を感じている」という労働者は全体の85%にのぼる。

 このようなダメージを防ぐためには、企業は仕事と介護を両立する職場環境を整える必要がある。特に今後、人口が多い団塊の世代が要介護になることで、介護を担う社員は急増する。高齢化が進む一方で、介護を担う団塊ジュニアを中心とする若い世代は、

(1)兄弟姉妹の数が少ない

(2)未婚率が高い(2030年には生涯未婚率は男性3割、女性2割を超える)

(3)共働きが一般的になり専業主婦は減っていく

 などの理由から、ひとたび親が要介護となると、一身にその負担を引き受けなければならなくなる。

 筆者が官庁統計を組み合わせて試算したところ、現状では家族に要介護者がいる「介護社員」は、ほぼすべての職場で1割前後だが、今後10年で2、3割まで増加していく(図4)。

■現状の介護保険制度は、共働き家庭や単身で働く世帯向きではない

 今後、2030年までに我が国の労働力人口は、毎年10万~40万人ずつ減少していく見通しだ(厚生労働省の雇用政策研究会2012年8月報告書)。介護離職したまま、再就職できない人が毎年7万人にのぼる現状を放置してしまうと、労働力不足はいっそう加速し、日本経済の大きな足かせとなりかねない。

 「介護保険があるのに、どうして介護離職者が大量に生じているのか?」といぶかしく思う人もいるだろう。実は、2000年に「介護保険制度」が施行された当時は、医療費削減のため、病院から在宅介護への動きを進めるために導入されたという経緯もあり、専業主婦など家庭で介護に専念できる人がいることが前提となっていた。したがって、共働き家庭や単身で働きながら介護をする人の割合が急速に増大している現状とは、合わなくなっている。今後は、働きながら介護する人たちの側面支援を念頭に置いて、介護保険制度を設計し直すべきである。

 例えば、現状では基本的にケアプラン(介護サービス計画)は要介護高齢者本人のニーズや課題、目標に則って作成されるため、通所介護の大半は午後4時半前後には要介護者を自宅に戻すなど、介護しながら働く家族のニーズや利便性はほとんど考慮されていない。今後、本人のみならず、家族のニーズも考慮してケアプランを作成することは必要不可欠になるであろう。

 一方で、企業においてもケアハラ対策など、介護社員が働き続けられる職場環境づくりは、まさに「待ったなし」。官民を挙げた早急な対応が求められている。

渥美由喜(あつみ・なおき)  東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長。東京大学卒業後、富士総合研究所、富士通総研を経て、2009年から現職。専門は少子化対策、ワークライフバランス、ダイバーシティ推進、社会保障制度。厚生労働省政策評価に関する有識者会議委員、イクメンプロジェクト委員。著書に『イクメンで行こう!』『少子化克服への最終処方箋』など。私生活では2回育児休業を取得、現在は子育てとともに父親の介護も担う。

(引用おわり)

 

 

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