パワハラ防止を通して職場環境の改善を創造する職場環境改善工房

お問い合わせは090-7312-3133

事例紹介

あなたの会社を「ブラック企業」にするのは、あなたです! 日経BPネットの記事より

2014年4月12日

日経BPネット2014年7月3日の記事です。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20130702/356636/

 

(引用はじめ)

正社員になった女性はなぜうつ病になり退職したのか?

 「ブラック企業」の議論が盛んです。「ブラック企業」と聞くと、私が浮かんでくる会社があります。2008年夏に取材した、金融商品を扱うコールセンターです。ここに気の毒な女性社員がいました。当時30代半ばで、正社員。それより1年程前に、非正社員から試験を経て正社員となりました。

 これが、派遣社員などの非正規の女性たちから反感を招いたようです。人事部長いわく「嫉妬心が渦巻き、正社員になった女性へのいじめがエスカレートした」とのこと。

 例えば、お客さんからコールセンターに電話がかかります。まずは、非正社員がその電話に出ます。そこから先は本来、正社員になった女性に相談するなどして、お客さんへの対応を進める必要があります。正社員になった女性が事実上の管理職(マネージャーを補佐する立場)として扱われていたからです。

 ところが、派遣社員たち10数人は徒党を組んでその正社員になった女性を無視し、マネージャーに相談をします。正社員になった女性は孤立し、口数が少なくなり、時折、休むようになりました。

 人事部などが何らかの手を打つべきなのですが、現場のマネージャーらとの責任のなすりつけ合いで有効な手は打てなかったようです。女性はうつ病になり、半年程の休業となります。職場復帰をしたものの、正社員にふさわしい仕事ができないと判断され、かつての非正社員の頃と同じ仕事をすることを命じられます。

 周囲の派遣社員たちが一段と勢いづきます。いじめがエスカレートし、女性は完全に孤立します。話す相手が1人もいなくなったようです。最後は重度のうつ病になり、退職をします。出社し、辞表を出すことすらできない状態になっていました。

 

労働法を守ってもその会社は「ブラック企業」

 この問題は、人事部や現場のマネージャーらの管理が行き届いていないことに加え、非正社員らへの教育にも大きな問題があります。嫉妬心を持つことは仕方がないとしても、悪質ないじめをしていた非正社員にも相当な問題があります。

 このコールセンターは、「ブラック企業」と呼べるでしょうか。「ブラック企業」というと、「賃金が極端に低い」とか、「サービス残業が多い」といった、誰の目にも明らかな部分がクローズアップされているように思えます。たしかにこれらは問題があるのでしょう。しかし、私はたとえ労働法などを守り、一定の社会常識を踏まえていたとしても、社員の身も心も潰してしまっているという意味でこのコールセンターは、「ブラック企業」ではないかと考えています。

 私はかねがね、「ブラック企業は働く人の数だけある」と思っています。つまり、長時間労働や低賃金などはともかく、いじめ、パワハラ、追い出し、セクハラ、退職強要などは実は平々凡々とした会社員がしているものなのです。

 小さな会社でいえば経営者や役員らがすることもあるでしょうし、黙認していることもあるでしょう。しかし、一定の規模以上の会社では、多くは管理職や非管理職など、普通の会社員たちが加害者であり、加担者です。経営陣だけを責めているようでは、ほくそ笑む者が現れます。

 例えば、いじめでいえば、見て見ぬふりするケースが大多数でしょう。それは「黙認」と同じ意味であり、結果としてゆがんだ体制を指示しているのではないでしょうか。その意味で、「ブラック企業は働く人の数だけある」と思えるのです。

 

たとえ「過労死」でも他人事

 過労死の問題でいえば、私にも思うところがあります。私が20代の頃に勤務していた会社でも、「過労死」事件がありました。ある日、その家族(遺族)から手紙が送られてきました。「現在、会社を相手に裁判をしている。署名を求めている」といった内容です。死亡した社員の氏名はかすかに聞いたことはありましたが、遺族が「過労死」であるかどうかと争いをしていることは知りませんでした。社員間で噂になったこともありません。

 その後、職場で同僚らと「遺族から手紙が来たか」といったやりとりをした覚えがありますが、それ以上は深く話し合いをしていません。企業内労組の集会などでは、正式な議題にすらなっていませんでした。当時、私は賃金などの待遇にも満足し、仕事の中身には納得していました。だからこそ、むしろ、遺族の行動に理解ができないものがありました。私の同僚や他の社員で、遺族の側に回り、支援をしていた人はゼロに近いでしょう。

 なぜ、私たちは遺族の側に回り、支援をしなかったのか、言い換えれば会社の経営陣に異議を申し立てなかったのか。さらにいえば、ブラック的な体質を黙認したのでしょうか。

 それは、会社での仕事や待遇に相当に満足し、何ら、不満がなかったからです。今でも、この会社の労働条件は日本ではトップレベルです。満たされた私や他の社員たちからすると、要はしょせん、他人事なのです。

 遺族からすると、「冷酷な社員」に映るでしょう。しかし、その遺族の家族(死亡した社員)も、他の社員の死にはおそらく、抗議をしたとは思えません。さらには、その遺族も家族が死亡するまでは「平和な家族」であり、その企業に勤務することを誇りにしていたのではないでしょうか。

 死亡した時にはじめて「冷たい現実」に気がついたのでしょう。一流に思えていた企業が、実は家族の死に冷たい姿勢をとるという意味での「ブラック企業」であるとは想像もしていなかったでしょう。しかし、それは会社が悪いというよりは、社長以下、社員らが作り込んだ体制なのです。

 遺族も死亡した社員も、私も同僚も、大半の社員も長時間労働を無批判に支えていたのであり、その意味で「ブラック企業は人の数だけある」と思えるのです。世の中の多くの会社もまた、「ブラック企業は働く人の数だけある」状態であり、それを許す体質が私たちの心に奥深く巣くっているともいえるのではないでしょうか。自分の身に降りかかった時こそが「問題」であり、それ以外はしょせん、他人事と思っているようにみえます。

 

人気の職業はブラック化してもへっちゃら!?

 さらに、一例を挙げます。例えば、都内にあるテレビ番組制作会社があります。正社員の数は30人ほど。10数年前、番組制作会社の中でも相当に名が通った会社を数人の社員が辞めて、創業しました。社長以下、役員数人はいずれも40代のディレクター、プロデューサー。その下に、20~30代のアシタント・ディレクターやディレクターがいます。結論からいえば、40代が20~30代を徹底して搾取する構造になっているのです。

 20~30代の退職者5~8人程の平均給与は月に30万円程(額面)。賞与は、年に1カ月分程。残業はタイムカードすらないようですが、「大体、月に80~120時間程」とのこと。これらの残業代は一切つかないようです。ここまでの状況をみるだけで、すでに労働基準法などに抵触し、社会常識を逸脱しています。しかし、この会社はなぜか、番組製作者を志す人から一定の人気があり、常に潜在能力の高いアシスタント・ディレクター(AD)などが入社します。

 これでさしたる問題が起きることなく、経営が成り立つのです。辞めていく人は絶えないのですが、入社する人もいます。しかも、レベルはそれなりに高い。40代のディレクター、プロデューサーは年齢を考えると、本来、現役を離れ、管理する側に回るのですが、いつまでも番組制作をすることができるのです。このような例からも、「ブラック企業は働く人の数だけある」といえるのではないかと思います。

 理想をいえば、こういう企業には法律で何らかの規制をするべきでしょう。例えば、放送局が下請けである、番組制作会社に仕事を依頼する時は、労働基準法をはじめ、労働法などを順守しているかどうか、社内紛争などが長引いていないかなど、いくつかの基準を設け、それを満たした会社に発注する仕組みを作るべきなのだと思います。しかし、そのような規制ができるのははるか先のことであり、今の会社員には無縁です。

 

「ブラック企業」問題は「会社VS会社員」ではない

 私は、現在の「ブラック企業」は「会社VS会社員」といった意識が根底にあり、ひたすら、会社を批判することに終始しているように思えます。しかし、そのような体質や風土、文化などを作っていくのは会社員です。その意味で、会社員にも相当な問題があると考えています。

 前回の記事で、企業内労組のことを指摘しました。本来は労組などが機能し、不当な行為などに歯止めをかけるべきなのですが、それができているとは思えません。これもまた、会社員の意識のあり方に問題があります。そして、この意識が「ブラック企業」を浸透させていく一因になっていると思います。

 では、どうすればよいのかといえば、「ブラック企業」を結果として支える会社員の意識はおそらく変わらないから、有効な対応策はないように思えます。多くの人は今後も、労働組合を冷めたまなざしでみて、労働基準監督署など第三者機関に問題を持ち込む人を異端扱いしていくでしょう。ましてや、会社と争う人のことは冷ややかにとらえていくのでしょう。「正しい」ことが「正しい」として通らない構造を皆で作ってしまっている以上、良識は浸透しないと思います。

 そこで発想を切り換えて、「ブラック企業」に犠牲にならないためにはどうすればよいか、と考えます。これがもしかすると、「ブラック企業」化を否定することにつながりうるのではないか、と思います。

 その意味での解決策は、たった1つかと思います。極端な長時間労働や、いじめ、パワハラ、退職強要などで身の危険を感じたら、冷静さを保ちつつ、会社を何日も休んだり、仕事を上手く放棄したり、他の部署への異動を申請するべきです。

 

建設的「破壊工作」の勧め

 つい先日も、20年程前に過労死で死亡した男性の遺族を取材しましたが、その男性もまじめな性格で、誠実なタイプでした。仕事を放棄するなどは、おおよそできないようにみえました。

 しかし、その人のよさに付け込む人たちがいるのです。いいように使い、その人の「責任感」を利用し尽くしていた先の結果だと思えました。このようにつけ込まれないためには、建設的かつ巧妙に、かつしなやかに「破壊工作」することをお勧めします。例えば、納得がいかない場合は少々、言い返すべきです。そして、それでも納得ができない場合、喧嘩をするべき時には喧嘩をしていけばよいのだと思います。

 職場で生き抜く、ためには、まじめに誠実に、といった姿勢は時に不利になりうることを意識しておきましょう。守るべきは、自分であり、会社でありません。安易に、思いつきで仕事を放棄することはいかなる場合も避けるべきですが、熟慮を重ね、期待ができないとはいえ、周囲の社員に自分の苦しみを話し、少しでも味方をつけるようにしつつ、自分の考えを通すようにしてみませんか。単なる破滅的な考えではないことは、強調しておきます。

 数回前の記事で、私が育休明けの社員の犠牲にはなりたくないとして、職場を機能不全にした例を挙げましたが、これを大いに見習ってほしいと思います。残念ながら、この記事には一部で批判がありましたが、この時の私の行動が「ブラック企業」化を否定するうえでバイブルになると確信しています。

 「ブラック企業」は働く人の数だけあります。周囲の社員は自分さえよければいい、と考えている可能性があります。いざとなれば、社長以下経営陣も管理職もすたこら逃げます。それは多くの事件で立証済みでしょう。それならば、あなたも自分のことを最優先に考え、ひたすら御身を守ればいいのです。そこに迷いはいりません。こういう、健全で静かな不服従が、「ブラック企業」化を否定します。

 皆さんの職場で、「ブラック企業」化を否定する行動をとっている人はいるでしょうか。

(引用おわり)

最近思うことがあります。日本の職場は無法化しているのではないかと。

その原因の一つに「無関心」と「長いものに巻かれる」風潮があるということです。

目の前で違法が行われていても、我が身に火の粉が降りかからなければよし、という風潮が今の日本人にはあるように思います。

日ごろからこういう風潮がまかり通っているので、違法・無法に対しても目を瞑る異なります。問題と戦う能力が培われないからです。

我が身さえ良ければ・・・・・という考えの蔓延が、問題に対する感覚麻痺を引き起こし、職場いじめやパワハラを助長させます。そして、都合の良い考えに陥ることが、結果的に労働法無視の状態に対する感覚麻痺状態を引き起こすことになるのです。