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事例紹介

服装の乱れを指摘したら騒がれてしまった。パワハラにあたるか

2014年3月29日

プレジデントオンライン2013年6月17日の記事です。

http://president.jp/articles/-/9696

(引用はじめ)

結論から述べると、相手の人格を損なうような発言や行為がなされていない限り、服装の乱れへの注意がパワハラにあたることはないと思われる。ただし、注意した相手が服装を改めず、「従わなければ処分する」と何らかの強制力を伴うアクションをおこす場合はその適正さが問われる。

そもそもパワハラとは何か。パワハラや職場いじめは大きく3パターンに分けられる。(1)仕事をさせないこと、または意味のない仕事をさせること、(2)村八分にするなど職場内の人間的交流を阻害すること、(3)人格を損なうような暴言や叱責をすることの3つである。

こうした行為が裁判に訴えられた場合、労働者人格権の侵害として損害賠償が認められる可能性がある。

労働者の権利というと賃金や労働時間、雇用保障といった労働条件に関する権利が思い浮かぶが、労働者人格権は労働者の人格や尊厳に関する権利で、裁判例を通じて形成された人権法理である。

労働者に対する嫌がらせとして、会社がまったく仕事を与えなかったとしよう。この場合、会社は「賃金を払っているのだから文句はないはずだ」と主張するかもしれない。しかし労働者は「働きたい」という気持ちを持っているのが普通であろう。

服装、髪型などには労働者人格権がある

労働は雇用契約上は労働者の義務だが、この点において権利性がある。その権利とは労働者の人格や尊厳の問題であり、仕事を与えないことは労働者人格権の侵害と考えられる。職場における個人のプライバシーや服装、髪型などの自己決定権についても同様に、労働者は労働者人格権を有している。

ただし、暴力をふるったり明らかに人格を損なう発言をしたりした場合をのぞき、ある行為がパワハラにあたるかの線引きは難しい。上司がハラスメントを行ったかどうかは主観的な判断を余儀なくされるからだ。業務上の教育や指導と労働者の自己決定権のどちらが優先されるかという問題もある。

実際の裁判で問題にされた要素には、まず職種が挙げられる。たとえば1つのミスが生死に関わる医療の現場では、強い叱責が行われても仕方がないと考えられよう。執拗に言い続けたかどうかという継続性や、みんな同じような行為をしているのに特定の1人だけ叱責したようなケースも問題となる。

つまりパワハラを外形的な要素だけで判断するのは難しく、職場全体の文化や雰囲気、あるいは上司と部下との関係を前提として、ある行為がどのような意味を持つかが判断されるわけである。

質問にある「服装の乱れ」についても、職種によってその意味は異なってくる。たとえばホテルのフロントと出版社の編集者では許容される程度は大きく異なり、「服装を改めよ」という命令の適正さも違うだろう。

職場における労働者の自己決定権を職務上どの程度コントロールできるかは、業務命令の適正さにかかってくる。たとえば、バス運転手の制帽着用義務が裁判で争われた神奈川中央交通減給事件では、運転手には着用義務があるとの判断がなされた。もっとも、処分の程度が極端に重いと処分自体が濫用とみなされる場合がある。

裁判でパワハラが認定されると、慰謝料の支払いがペナルティとして求められる。パワハラが原因でうつ病を発症したような場合は、その分の慰謝料が加算される。

慰謝料の金額は事例によって異なり、一概に相場を言うことはできない。同じ事件でも1審と2審で大きな差が出ることもある。

会議中における人間性を否定するような暴言や非難が問題になった三洋電機コンシューマエレクトロニクス事件では、1審は長年勤続した従業員たる地位を根本的に脅かす嫌がらせであったとして300万円の損害賠償を認めたが、控訴審では原告のふてくされた態度や一連の言動を録音していたことを理由に10万円に減額された。

パワハラにならず、かつ効果的に業務上の指導や命令を行うには、相手が生身の人間であることに留意し、きちんと具体的に理由を説明することが大切だ。業務だからといって相手の人格を傷つける発言が許されるわけではない。

(引用おわり)

記事自体は、2011年12月のプレジデント誌に載ったものなので、いささか古い感のある記事ですが、

過去の議論を知る上でも、貴重な記事といえますし、基本的な部分では変わっていません。

ただ、補足させていただくと、

>会議中における人間性を否定するような暴言や非難が問題になった三洋電機コンシューマエレクトロニ

>クス事件では、1審は長年勤続した従業員たる地位を根本的に脅かす嫌がらせであったとして300万円

>の損害賠償を認めたが、控訴審では原告のふてくされた態度や一連の言動を録音していたことを理由

>に10万円に減額された。

これは、録音行為そのものがいけない、と言うわけではありません。

もともと、この事件では、原告が、被告に対して、不適切な態度を取り続けてきたことに問題があるとしています。

つまり、暴言を録音するために、被告を意図的にいらつかせ、暴言を誘発した節がある、としているのです。

ただ、それでも、この暴言があまりにもすさまじく、誘発されたものだとしても、限度を超えているとして、10万の賠償額が認められたのです。