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事例紹介

<なくそう長時間労働> 中小企業社長さんの「残業ゼロ」術

2017年2月2日

東京新聞平成29年1月16日の記事です。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201701/CK2017011602000153.html

 

【引用はじめ】

多くの職場で取り組む必要がある長時間労働の撲滅。組織の大きい大企業よりも、身軽な中小企業の方が経営者の決断で動きやすい場合がある。これまでの仕事の常識を覆す発想で顧客至上主義を捨てて、「残業ゼロ」を達成した中小企業が福岡市にある。 (三浦耕喜)

 「初めのころは朝礼で名指ししていたんですよ。『○○さん、有給休暇をまだ取っていませんよ』と」

 福岡市早良区にある建設資材リース業「拓新産業」で、社長の藤河次宏さん(70)=写真(中)=はこう笑う。有給休暇の消化率が悪い社員の名前を掲示板に貼り出したことも。「こうすれば、建前ではなく本気で言っていると分かるでしょう」と狙いを明かす。

 同社は従業員約七十人で、主に建設現場の足場をレンタルしている。建設は工期があらかじめ決められ、作業も遅れがち。残業して、休日も働いて、何とか間に合わせることが業界の常識だ。

 にもかかわらず、同社の有給休暇取得率は100%。完全週休二日制で、残業もほぼゼロだ。正確には一人平均で年二時間ほど。「何年もかけてこういう仕組みをつくってきたからです」と藤河さんは胸を張る。

 きっかけは三十年ほど前。新卒者採用のため、初めて企業の合同説明会に参加した時だ。藤河さんが座る同社のブースには学生が一人も来なかった。「建設関係の中小企業となると、こんなふうに見られていたのかとショックで」と振り返る。

 このままでは人材確保もおぼつかない。きつい仕事というイメージを脱するポイントは、「休みやすい職場づくりにある」と藤河さんは考えた。まずは労働基準法など関連法規を読み込み、社内の規則を整えた。「でも、それだけでは動きません。仕事の中身に切り込まないと」

 確かに、上司は「休め、休め」と言うだけで、業務量はそのままで、人手不足のため一人当たりではむしろ上乗せという職場は少なくない。かえって、それは自宅残業や、残業時間の過少申告を促す背景にもなる。では、藤河さんはどうしたのか。

 取り組んだのは「お客さまは神様です」という顧客至上主義を捨てたことだ。「うちは残業しないと取引先に説明して回りました。土曜日はローテを組み、代休を取りながら対応していますが、休日は仕事を受けないとはっきりさせました」

 そうすると仕事が逃げていかないか。藤河さんは逆手に取り、「むしろ、それを仕事を整理する好機にしました」。それまでは一社で売り上げの二割近くを占める得意先があったが、売り上げの多い取引先の仕事はあえて減らした。

 「特定の社に依存すると、どうしても無理を聞かねばなりませんから」。大口の上得意を作るのではなく、広く薄く取引関係を築く方針に転じた。

 「客の無理に対応しようとすれば、その分こちらも無理をする。売り上げは伸びても、それ以上にコストがかかります」と藤河さん。実際、売り上げは伸びていないものの、利益率は上昇傾向にあるという。

 うれしかったのは、就職活動シーズンになると、二、三百人もの学生が、市の中心部から一時間かかる同社に足を運んでくれるようになったこと。ブースに閑古鳥が鳴いていた中小企業は一躍、人気企業になった。

 藤河さんは「トップが本気でやろうとするのが大事。『こんなことしたら、経営に悪影響が出るのでは…』と想像して不安になるのではなく、何ができるか工夫すればいいのです」と話す。

【引用終わり】