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事例紹介

高橋まつりさんと工藤ダイキさん

2017年1月26日

現代ビジネス 平成29年1月26日の記事です。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50708

 

工藤ダイキさんという方が書かれた記事です。

この方は、僕と同じようにパワハラと戦い、裁判に勝って、「24歳フツーの男子がブラック企業に勝った黒い方法」という本まで出してしまった人です。

実は、工藤さんが本を出す直前に、私に突然メールをくださったことがあり、工藤さんが突然会社から解雇通知を貰ったときに、なんとかしなくては!と思って焦っていたときに出会ったのが、私の著書「パワハラ地獄敢闘記」だったそうです。

そして勇気付けられて、パワハラと徹底的に闘うことを決めたのだそうです。

メールを貰ったとき、嬉しかったな。

 

工藤さんのこの記事を拝見し、昔のことを思い出し、電通の過労な労働で自ら命を絶ってしまった高橋まつりさんのことを思うとき、私はもし、高橋さんが工藤さんや僕の本に出会っていたら、今も生きていらっしゃっただろうか・・・・・ということを考えてしまいます。

生きることは闘うことが尽きません。闘うことまで奪ったら、仕事も人生も無い。

過労って結局、会社の利益を奪うことなんだってことを働いている人が築かない社会に持続も発展も無いと思います。

【引用はじめ】

もしも高橋まつりさんに「会社と戦う」という選択肢を伝えることができたなら…。

初めまして。フリーライターの工藤ダイキと申します。現在26歳。ザ・ゆとり世代です。僕は高橋まつりさんが亡くなられた10日ほど前に、会社との裁判を終え、和解金700万円を獲得しました。今回はブラック企業の実態から裁判の方法までを語っていこうと思います。

●あの事件の裏で

僕の裁判ネタが『24歳のフツーの男子がブラック企業に勝った黒い方法』という書籍となって世間に公開されたのは、昨年の6月末のことでした。目指せベストセラーで執筆しましたが、結果は空振り三振。全く売れませんでした。

「出版業界は衰退しているから仕方ない」と責任転嫁に躍起になっているとき、あの悲劇的な過労死事件がメディアに取り上げられたのです。

ただただ悔しいなと思いました。同世代の若者が、ブラック企業に搾取され、命まで搾り取られている。そして今この瞬間もきっと、もがき苦しみながら働くたくさんのサラリーマンがいる。

「会社と戦う」という選択肢を日本社会に広めていこうと決めたのは、そういったことがきっかけでした。

僕は日本大学経済学部を卒業後、大手就職サイトに掲載されていた美容の商社(シャンプーなどを美容室に卸す仕事)に新卒入社しました。

ブラックでした。毎月100時間を超えるサービス残業、額面21万、年収270万、有給なんて夢のまた夢、年間休日80日、会社支給の携帯は30%自己負担、3年以内の離職率70%…。黒色に黒色を上塗りしたような会社でした。

「顔がキモイから会社にいるな」との理由から、草むしりやトイレ掃除をやらされたこともあります。頭を叩かれながら説教されるなんて当たり前。フツーに殴られるし蹴られます。

上司との同行営業中、吉祥寺駅前の大通りを営業車で走行しているとき「車内が寒い」と理不尽に怒られ、助手席から殴られたことがありました。

その際、痛みで運転がフラついてしまったのですが「ぶつかれー!いえーい!」と喜んでいる上司を見たとき、この会社はダメだと思いました。

草むしりをやった現場(著者撮影)

●パワハラ、そして解雇へ

すぐにでも会社を辞めたかったのですが「3年は我慢」「隣の芝生は青く見える」「もう学生じゃない」「早く辞めた分だけ転職が不利になる」「家賃はどうすんだ?」などなど、魔法の呪文が大音量で内外から聞こえてきます。

いつしか魂の叫び声は搔き消され、僕は僕を殺しました。どうせ会社を辞めることができないのなら、会社に染まった方が楽だと考えるようになったのです。

タイムカード打刻後に働くことへの抵抗感や、上司から「死ね・消えろ・童貞・臭い・早く辞めろ」などと言われることに対して、驚くほど何も感じなくなりました。

心が壊れていたのだと思います。体重が激減しようが、医者から抗うつ剤を処方されようが、僕は無心で働きました。なぜなら「社会人だから」です。

だけど限界でした。入社1年目の12月19日。上司に胸元を掴まれながら「営業成績が悪いなら、ブッ倒れるまで働け!」と蹴り込みで叱咤された後、僕は外回りに出かけるため、いつもにように営業車へ乗りこみました。

ハンドルを握り、アクセルを踏み、バックミラーで後方を確認したとき、そこには自分の泣き顔が映っていました。

衝撃でした。スーツを着た社会人の涙、酒の肴にするには辛過ぎます。

「これ以上、自分を殺し続けることはできないな」

ようやく目が覚めました。社会人である前に、僕は僕だったのです。

僕は労働基準法を勉強するようになり、会社に噛みつくための準備を始めました。ICレコーダーを購入し、会社の資料は根こそぎコピー。だんだんとエスカレートする上司の嫌がらせを粛々とやりすごしました。ICレコーダーにはこんな記録があります。

「あなたの態度が周りをみんな不快にしてる」
「会社に居ても、もう仕事は無いよ」
「なんだそのポカーとした顔は? お前と話すとイライラする」

これはまだまだ序の口。この手のパワハラは、数えだしたらきりがありません。この後、退職勧奨を受け自宅待機命令、最終的には解雇…。

解雇理由は勤務態度不良とのことでした。社会人1年+11日で解雇される屈辱。そして唖然とする僕の姿を、笑いながらスマホで撮影する社長に対する怒り。僕は覚悟を決めました。

「よし、この会社を訴えよう」

●ICレコーダーで証拠を集めた

民事裁判は「勝ち負けをはっきりさせる場所」ではありません。大切なのは「いくら取ったか・取られたか」つまりマネーゲーム、お金の奪い合いです。

事実、民事裁判の約50%が和解で終わっています。僕の場合は解雇無効、サービス残業代、パワハラ慰謝料、トータル1000万円を狙いにいきました。

結果は700万円でしたが、会社に一矢報いることはできたかなと思っています。

なぜ裁判で勝てたのか。これはもう「証拠を集めたから」の一言に尽きます。パワハラ裁判が好例です。

「上司からパワハラを受けていた」と主張しても「パワハラなんて無かった」と反論されると、第三者(裁判官や労基)はどちらが本当のことを言っているのか、分かりません。

同僚に証言してもらうから大丈夫と考えた方は、相手も同じように同僚に証言してもらえるという事実と向き合うべきです。つまり証言は証拠として弱いのです。

ICレコーダーでパワハラ発言を録音するなど、誰がどう見ても明らかな証拠が無ければ、真実は事実としては認めてもらえません。

そしてその証拠を集めることができるのは、被害に遭った本人だけです。「証拠の有無」この1点だけが勝敗の分かれ目、裁判のキーポイントです。

ドラマと違い、法廷に立ったのは一度だけ Photo by GettyImages

●そして裁判へ

証拠さえ集めることに成功すれば、あとは弁護士が全てやってくれます。裁判に関わる99%の作業は、弁護士がやってくれると考えて大丈夫です。だから依頼人が注力すべきは「証拠集め」のみ。

テレビドラマでは弁護士が証拠を集めてくれるシーンがありますが、そもそも弁護士は会社に入れないわけで、もし入れば不法侵入罪で逮捕されます。弁護士の指示を仰ぎながら、コッソリ行動するのは労働者本人。ここが気張りどころです。

裁判には他にも、テレビのイメージとの大きなギャップが存在します。例えば「異議あり」みたいな法廷のシーンがありますが、あれは完全にフィクションです。

リアルな裁判は書面でのバトルです。お手紙合戦です。僕は会社と20ヵ月も争いましたが、なんと僕が法廷へ足を運んだのは1回のみ。

しかも僕が特殊というわけではなく、みんな平均で1回くらいしか法廷のセンターステージに立つことはありません。もちろん書面の内容作成、送付等は弁護士がやってくれます。

だから裁判って、実は当事者は暇なのです。また弁護士は敷居が高いイメージがありますが、相談料0円の弁護士事務所は驚くほど多いです。

まずは弁護士のところへ無料相談に行き、知恵を授かることをオススメします。個々の事情に合わせた戦い方も教えてくれますよ。

裁判には3ヵ月で終わるプチ裁判(労働審判)など、投資できる時間や費用によって戦い方(裁判の種類)を変えることができます。

もちろん労働基準監督署へ相談に行くのもオススメです。労基は匿名相談OKだし、相談は無料。利用しない手はありません。

ぜひ一人で悩みを抱え込まず、専門家をガンガン頼ってください。

「会社と戦う」という選択肢があることを、たくさんの人に伝えたい。もう二度と、高橋まつりさんのような悲劇が起きませんように。

悩んでいる方は、まずは勇気を出して相談することから始めてみてください。

【引用おわり】