パワハラ防止を通して職場環境の改善を創造する職場環境改善工房

お問い合わせは090-7312-3133

事例紹介

言葉のセクハラ最高裁へ(前)~再逆転! 悪質な発言は処分妥当~

2015年3月4日

2015年3月3日 読売新聞の記事です。

http://www.yomiuri.co.jp/job/navi/kaneko/20150302-OYT8T50188.html

 

【引用はじめ】

このシリーズでも「下ネタ総集編」(10月21日11月4日)として取り上げて紹介したK館懲戒処分事件が、その後、高等裁判所で逆転(処分無効)判決が出され、セクハラ訴訟としては異例の最高裁まで争われることになりました。そして、その判決が2月26日に出されました。

 

 「俺の性欲は年々増すねん」「夜の仕事とかせへんのか」など性的な発言を繰り返したとして平成24年2月に30日間、10日間の出勤停止の懲戒処分を受け、降格された2人が、処分を不当として訴えた事件です。

 大阪地裁が「処分有効」としたものを控訴審の大阪高裁は「処分無効」として、その判断が分かれました。そして、ついに最高裁に判断が委ねられることになったわけです、そこで今回は緊急番外編として、あらためて、この裁判の簡単な経緯を振り返ってみることにします。

「処分は妥当」(大阪地裁)

 まさに下ネタオンパレードともいえる様々な言葉のセクハラを一つ一つ取り上げた上で、大阪地裁は、「発言内容及び状況からすれば、自らの発言が女性らに対して強い不快感を与えることを認識していたか、少なくとも容易に認識し得たものということができる。そうすると、これらの発言は、(同社が作成していた)セクハラ禁止文書の規定する<1>『性的な冗談、からかい、質問』<2>『その他、他人に不快感を与える性的な言動により社員等の就業意欲を低下させ、能力発揮を阻害する行為』に該当するものであるとともに、その発言内容からして、一般の女性労働者の感じ方に照らし、発言を聞いた女性労働者に対して強い不快感を与え、職場規律を乱す行為ということができ、実質的に懲戒処分に相当するものと言える」として、「処分は妥当」との判断をくだしました。

処分は重すぎる(大阪高裁)

 ところが大阪高等裁判所は、「女性従業員から明確な拒否の姿勢を示されておらず、本件行為のような言動も同人から許されていると誤信していたことや、被上告人らが懲戒を受ける前にセクハラに対する懲戒に関する会社の具体的な方針を認識する機会がなく、本件各行為について会社から事前に警告や注意等を受けていなかったことなどを考慮すると、懲戒解雇の次に重い出勤停止処分を行うことは酷に過ぎるというべきであり、会社が被上告人らに対してした本件各行為を懲戒事由とする各出勤停止処分は、その対象となる行為の性質、態様等に照らして重きに失し、社会通念上相当とは認められず、権利の濫用(らんよう)として無効であり、上記各処分を受けたことを理由としてされた各降格処分もまた無効である」として、「処分は妥当」と判断した地裁判決を否定しました。

処分は適法(最高裁判所)

 こうした逆転判決を受けて、どのような判決を下すのか大いに注目された裁判でしたが、最高裁は「いずれも女性従業員に対して強い不快感や嫌悪感ないし屈辱感等を与えるもので、職場における女子従業員に対する言動として極めて不適切なものであって、その執務環境を著しく害するものであったというべきであり、当該従業員らの就業意欲の低下や能力発揮の阻害を招来するものといえる」としました。

 そして、その上で被害女性が拒否の姿勢を示さなかったことについては、「職場におけるセクハラ行為については、被害者が内心でこれに著しい不快感や嫌悪感等を抱きながらも、職場の人間関係の悪化等を懸念して、加害者に対する抗議や抵抗ないし会社に対する被害の申告を差し控えたりちゅうちょしたりすることが少なくないと考えられること(中略)などに照らせば、(中略)そのことをもって被上告人らに有利にしんしゃくすることは相当ではないというべきである」としました。

 さて、この最高裁の判決で日本社会でもこれまでは軽視されがちであった「言葉のセクハラ」への本格的な対策が求められることになりました。そこで、次回はこの判決から求められている企業の対策について考えます。

【引用終わり】

(言葉のセクハラ最高裁へ(後)へと続きます。こちらをクリック)