職場環境改善工房が唱える、パワハラ防止を前提とした「パワハラの定義」とその論理について。
2015年2月7日
パワハラは、間違いなく職場環境を悪化させます。
従って、職場環境改善工房では、パワハラ防止の観点から、パワハラを
職場環境を悪化させる行為
と定義づけした上で、企業様や一般の方にパワハラ対策をご提案いたしております。
しかし、単純にパワハラを「職場環境を悪化させる行為」とすると、なんでもかんでもパワハラとなってしまい、かえって職場を混乱させる可能性があります。
そこで、私は3つの視点を用いてパワーハラスメントを分析します。
1、影響(職場環境悪化の影響)
2、行為(どういう行為が行われたのか)
3、程度(法的問題レベルなのかどうか)
効果とは、つまり、悪影響のことです。職場への悪影響と、個人への悪影響の2種類に分かれます。
⇒ 職場全体への悪影響
・職場不信
・人間関係の悪化など
・業務効率の低下
・人格侵害等の行為の恒常化
⇒個人への悪影響
・メンタル面の不調(ひどい場合は、うつ病などの発症や自殺もある)
・退職強要・解雇・法に違反する扱い
・身体面の不調(暴行などで怪我をするなど。)
など・・・
行為とは、まさしくどのような行為が行われたか、ということです。これについては厚生労働省から行動類型が提示されています。
- (1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
- (2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
- (3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
- (4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
- (5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
- (6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
そして、程度は、大きく法的責任レベルなのか、会社内解決可能レベルなのか、にわかれます。
法的責任レベルは、次の3点です。
- 刑法などの問題・・・傷害・暴行・監禁・侮辱など刑罰対象行為や違法行為の強要など
- 労働法・民法上の問題…解雇・退職強要・不当な扱い・不利益変更の強要・不法行為・損害賠償など
- 健康管理上の問題…うつ病や精神疾患の発生など。
このレベルはもはや会社内での解決は不可能ですので、外部の機関(労基署、ADR、裁判など)を使った解決をすることになります。
会社内解決可能レベルは次の3点です。
- 排除・攻撃など…意図を持っての、攻撃や排除により、能力の低下や心理的悪影響、職場全体への悪影響をもたらす。法的責任レベルに移行しやすい状態。
- 過渡な行為・要求など…意図を持ってはいないが、過渡な言動・行為・要求により、心理的な悪影響を及ぼし、能力の低下や職場全体への悪影響をもたらす。言動・行為・要求の内容によっては、法的責任レベルに移行しやすい。
- 誤解…コミュニケーション不足や誤解によって、パワハラと誤解しているケース
会社内解決が可能なケースでも、すぐに法的責任レベルに移行しやすいため、パワハラは常に防止を心がけなければいけません。
そのため、私は、職場や個人に対する悪影響=効果を非常に重く見てパワハラを考えます。
大なり小なり、職場に悪影響がある場合、早急に対策をしなければいけません。