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事例紹介

うつ・ストレスから社員を守れ!不機嫌な職場を“ご機嫌な職場”に変える経営術

2015年1月28日

木この記事は、企業内におけるメンタルヘルスケアの取り組みについて、書かれています。

企業法務・総務の方にも参考になる記事ではないかと思い、ご紹介いたします。

 

 

2015年1月23日 ダイアモンドオンラインの記事です。

http://diamond.jp/articles/-/65567?page=4

 

【引用はじめ】

働く人にとって厳しい時代に
対策が充実しても不調者は増えている?

景気回復の傾向の鈍化、成果主義による競争の激化、職場のコミュニケーションの低下……働く人にとって厳しい時代が長く続き、その歪みは体の不調による休職者や退職者の増加という形で表れている。身近なところで「部下がうつになってしまった」「隣の部署の同僚が過労で倒れた」などという話を聞くこともあるのではないだろうか。

厚生労働省が行った『平成25年 労働安全衛生調査』によると、「過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヵ月以上休業または退職した労働者がいる事業所」の割合は、全体の10%。24年に行われた同調査の8.1%よりも上昇する結果になった。しかしその一方で、「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所」の割合は平成24年に47.2%だったのが、25年には60.7%に上昇している。対策が行われても逆に状況が悪化するとは、いったいどういうことだろうか。

「長い時間をかけて蓄積されたストレスは、それなりの時間をかけて解決していくしかありません。今は依然として、長時間労働、いきすぎた成果主義、パワーハラスメント……と労働環境の厳しさが増しているので、メンタルヘルスケアを行っても結果が追いつかない状態。対策がムダだというわけではないのです」と語るのは、マーケティング・コンサルティングのための調査研究を行う、日本能率協会総合研究所の馬場裕子さんだ。

心の問題だけに、「100%効く」特効薬があるわけではない。職場のストレスチェックを行う、社員にストレスへの対処法をレクチャーする、管理職にマネジメント教育を行う、などの対策を講じることで、まずは新規の不調者が増えないよう、地道に取り組んでいくしかないという。

「うつは再発しやすいので、一度うつになってしまうと職場復帰には大変な苦労が伴います。本人はもちろん、サポートやコスト面では企業側にも苦労があります。私たちが2013年に行った『ビジネスパーソン1000人調査』では、『直近の3年間でメンタルヘルスに不調を感じたことがありますか』という問いに対し、全体の40.4%の人が『はい』と回答しました。病気と診断されるところまではいかない、この段階の人たちを早期発見し、問題を解決していくのが企業の目下の課題です」(馬場さん)

職場環境のストレスをうまく取り除き、「働きやすい職場環境づくり」へ導くことができれば、社員の心身に不調が表れたり、過労で倒れたりすることもなくなる。馬場さんによれば「職場にストレスを感じていない人のほうがパフォーマンスが高い」ことはデータで証明されているそうだ。つまり、働きやすい職場環境の実現は、やがては組織のパフォーマンス向上につながるのだ。

多数の社員を抱える大企業では、早期発見・未然防止の重要性に気づき、すでに9割以上の企業で何かしらのメンタルヘルスケアがなされているという。さらに、今年12月からは全ての企業においてストレスチェックが義務化される(50人未満の企業では努力義務)ため、日本企業全体の健康管理に対する意識も高まりそうだ。

 

“聞き上手なおじさん”が職場を救う?
富士通のユニークなメンタルヘルスケア

では、実際に手厚いケアを行っている企業には、どんなケースがあるのか。最初に紹介するのは、総合エレクトロニクスメーカーの富士通だ。

実は、先に挙げた『平成25年 労働安全衛生調査』の「連続1ヵ月以上休業または退職した労働者がいる事業所」の割合を産業別に見ると、「情報通信業」が28.5%と最も多くなっている。メンタルヘルスケアの必要性を強く感じているであろう富士通では、どんな取り組みが行われているのか。

「スーパーコンピュータなど時代の最先端のものづくりに携わるということは、労働時間の面などから見ても、ストレスがかかりやすいと言えます。その自覚があったので、1966年には精神科の産業医を社内に配置し、1973年にはカウンセラーの常勤制度を敷くなど、『メンタルヘルス』という言葉が日本に定着する以前から心と体の健康管理に取り組んできました」(健康推進本部長の三宅仁さん)

富士通は時代に合わせて様々な対策を行ってきたが、2006年からはさらにメンタルヘルス不調の未然防止、早期発見に重点を置き、 次のような手厚いケアを行っているという。

・社内カウンセラーによる社内カウンセリングサービス
・外部機関を活用した社外カウンセリングサービス
・全社員を対象としたeラーニング研修
・ストレス診断
・管理職に対するマネジメント教育
・新入社員研修

なかでもユニークなのは、2008年から行われている「職場づくり支援スタッフ」の存在だ。

「ストレスの多いアメリカ空軍での取り組みを参考にしたもので、簡単に言えば“聞き上手なおじさん”です。これまで管理職にいくら教育を行っても、彼ら自身も膨大な仕事を抱えているので、十分に機能させるのは難しい事情もありました。そこで、役職離任した55歳以降のシニアスタッフの中から、現役時代に部下のフォローがうまく、メンタルヘルスケアへの関心も高かった人間を採用して、『職場づくり支援スタッフ』として活動してもらっています」(三宅さん)

 

メンタルヘルス不調者への対応や管理職との面談などを行い、医療スタッフと連携して問題解決に取り組むのが彼らの役目。職場の事情を知っているから、社員の悩みに対する理解度が高く、それでいて利害関係はないので、上司に相談しにくいこともフランクに話せるというメリットがある。富士通では様々な施策を行っているため、「職場づくり支援スタッフ」のみの成果とはいいがたいが、導入前と比べて新規の不調者の人数は、漸減傾向にあるという。

次に、総合化学メーカー・三井化学の取り組みを紹介しよう。三井化学も、早期発見・未然防止に重点を置く姿勢は富士通と同じ。メンタルヘルスケアを「個人」と「職場」に分けて考える点が、特徴的だ。

「個人」に対して行うケアの好例は、入社後2年間、半年ごとに行われる産業医面談である。

「入社初期の不適応は『誰にでも起こり得ること』です。学生から社会人になり、環境が変わったのだから、『うまくいかない』と感じることもあるでしょう。でも、『適応できない変なヤツと思われたくない』という気持ちから、進んで周りに相談する人はあまりいません。そういう悩みを産業医がすくい上げて、職場への適応に導くのです」(三井化学本社 健康管理室長統括産業医の土肥誠太郎さん)

さらに、健康診断時に全員にストレス症状チェックを行い、不調者をフォロー。部下ができた30代前半の新任管理職を対象にした教育、カウンセリングなどにも力を入れる。

働き易い職場のお手本を社内で共有
三井化学の「グッドプラクティス」とは

「職場」へのメンタルヘルスケアとしては、「グッドプラクティス」の共有が挙げられる。

「毎年1回、簡単な質問から働く人のストレスレベルを測れる厚生労働省『職業性ストレス簡易調査』と『メンタルヘルス風土調査』(指示系統、労務管理、連携協力、研修機会という4つの側面から職場の働きやすさを評価するもの)を行い、すべての職場の『働きやすさ』を測定。その上で、働きやすい職場から『グッドプラクティス=働きやすさの源になる素晴らしい取り組み』をくみ上げ、全社的に共有しています」(土肥さん)

 

働きやすい職場を目指すとは言っても、どう取り組めばいいかさえわからない場合も多いだろう。そこで、身近なお手本として「働きやすい」と判定された職場の管理職が社内講演会などを開き、自分たちの「グッドプラクティス」を共有するのだ。管理職には全員、自分の管理する職場が他の職場と比べてどれほど働きやすいか、逆に働きにくいかが数値化されてフィードバックされるという。管理職にとっては、成績表を渡されるような感覚かもしれないが、これによって「働きやすい職場」が増えていくのだ。

やはり三井化学も様々な取り組みを行っているため、これに限った成果とは言えないが、メンタルヘルス不調を含む社員の疾病休業日数は、ピーク時の3分の1程度にまで下がったという。

目先のコストより社員のケアに投資
不機嫌な職場をご機嫌な職場へ

富士通の三宅医師も三井化学の土肥医師も、「目先のコストより、社員の健康に投資する気持ちでメンタルヘルスケアを含む健康管理に取り組んでいる。それがゆくゆくは、全社的なパフォーマンスを上げることにつながる」と語る。本当に社員のことを考える企業は、長いスパンでコストと企業の成長を考える。

一方で、企業の広報・ブランド戦略の立案サポートを担当し、各社の採用にも携わるPRマネジメント代表・渡瀬裕哉さんによると、「メンタルヘルス不調者が表れた場合のリスクを重く受けとめた企業が、『ストレス・メンタルヘルス診断』を実施するケースが急増している」という。

うつや新型うつなどの不調で働けなくなる社員は、多くの企業にとって悩みの種。そのため、最終面接付近でこのチェックテストを実施し、現在メンタルヘルス疾患を抱えているか、これからメンタルヘルス不調になる可能性が高いかを見極めることができる“ボトムチェック”と、コミュニケーション能力などが高く、ビジネスでも高いパフォーマンスを発揮できるかを見極める“トップチェック”を同時に行うのだ。もちろん、ボトムチェックに引っかかれば不採用となる。

そこまでの「早期発見」の是非はさておき、メンタルヘルス不調が原因で足切りが行われるほど、企業側のリスクは高いということだろう。

特に規模の小さい企業では、目先のコストが大きなものに感じられるかもしれない。しかし、働く人にとっての厳しさが増す現代では、共に働く仲間として、社員の心と体の健康を第一に考える姿勢が、求められるのではないだろうか。

「不機嫌な職場」を「ご機嫌な職場」へ変えることが、職場のモチベーション・アップ、ひいては業績のアップにつながるのである。

【引用おわり】