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事例紹介

耐えても逃げても終わらない! ブラック企業“負の連鎖”をどう断ち切る?

2014年3月9日

2013年5月 日刊サイゾーからの引用です。

http://www.cyzo.com/2013/05/post_13175.html 

(引用はじめ)

ブラック企業イメージ

「ブラック企業」という言葉が世間に浸透して久しい。一般的には、働く人の生活や権利を違法な形で侵害し、場合によっては生命や健康を奪うような悪質な企業のことを指すこの言葉。従業員に徹底的な従属を迫り、働かせるだけ働かせ、使えなくなったらポイ捨て。組織ぐるみのパワハラで精神的に追い込み、自主退職させる――。これまではこういった面が取り上げられることが多かったが、最近では「辞めたくても辞めさせてもらえない」という事例が増えているという。いま、労働現場に何が起こっているのか? そして、ブラック企業問題の本質とはなんなのか? 「NPO法人労働相談センター」(東京・葛飾区)の副理事長・須田光照さんに話を聞いた。

 1988年に設立され、04年にNPO法人化された労働相談センターでは、全国から電話・メール・来所で労働相談を受け付けている。10年は5943件、11年は7624件、12年は7775件と、相談件数は毎年過去最高を更新し続けているという。

「不当解雇や“追い出し部屋”による強制退職、あるいは長時間労働による過労や過労死、サービス残業など相談内容はさまざまです。ブラック企業はあらゆる職種、あらゆる年齢層で問題となっています。正規非正規、あるいは大手中小零細、会社の規模も関係ありません。労働者全体が劣悪な環境で働かされている、ということだと思います」(須田氏)    設立当初から一番多い相談内容は賃金、次いで解雇という順だったが、それが逆転したのは08年のリーマンショック以降。賃金は横ばいだが、解雇に関する相談が著しく伸び続けている。そして、もうひとつ右肩上がりになっているのが、職場のいじめ・いやがらせだ。「辞めたいのに辞めさせてくれない」というのもこれに当たり、近年増加傾向にある。

「とくに目立ち始めたのは06年以降で、12年は671件でした。相談件数全体の比率からいえば数字的には多いわけではありませんが、推移から見ると非常に目立ち始めてきているといえます」

 退職する権利は、労働者にとって最後の権利。ところが、その権利さえ口にするのがためらわれる労使関係にある労働者が多いのが現状だ。民法では雇用期限のない正社員は、2週間前に退職を告知すれば、会社や上司が認めなくとも、雇用契約が解約されると定められている。実際、労働相談センターに相談してくる人の多くはそういった法律的な知識を持ち合わせてはいるが、それが言いだせず、どうしたらよいのかという相談が多い。

「弁護士や学者は『そんなの、退職届出せば一発だ』と言いますが、それは現場を知らないからなんですよね。今の職場環境がどれほどめちゃくちゃなことになっているのか、この7000件の相談から明らかです。『辞めたいのに辞めさせてもらえない』というのと、『辞めたくないのに辞めさせられる』(解雇、退職強要)は、一体のものなんです。それぞれが別の問題ではなく、総体として労働者の置かれている立場が、あらゆる企業でブラック化しているということの表れです」

 この「辞めたくても辞めさせてもらえない」にも、さまざまなケースがある。たとえば、離職手続きを進めない、という嫌がらせ。これにより失業保険を受け取ることができなかったり、再就職に当たって支障を来す場合もある。

「離職票は10日以内に発行しなければならないということになっているんですが、会社がこれに応じない場合はハローワークに相談してください。ハローワークから会社に指導してもらうことで、普通はだいたい応じます。それでも出さない場合は、ハローワークが職権で発行してくれます」

 またよくあるのが、会社から借金を背負わされるというケース。須田さんによると、これがブラック企業における一つの手口になっているという。たとえば営業職であれば、度を超えたノルマを課し、それが達成できなければ会社が赤字を被ったと言いがかりをつけられ、借金を背負わされるのだ。

「これは裁判で争っても、よっぽどの故意や過失がない限り、労働者が会社の損失を弁償するなんてことはありえない話です。また暴力を受けている人たちも多いですが、そういう場合は刑事事件にするため弁護士を紹介しています。それから1人でも入れる地域の労働組合(労組)があるので、そこに加入して、労組を通して会社に退職届を出すという方法もあります。辞められるだけでなく、場合によっては未払い残業代などを取り返すこともできます」

 こういったケースには、何より第三者の介入が重要なポイントだ。

「ブラック企業における上司と部下という閉じた関係は、独裁者と奴隷のような関係のため、法律がどうこうといってもそれがずっと続いてしまいがちで、精神的に参って病気になってしまうということもあります。間に入ってもらうのは、弁護士や労組でなくとも、親や友達でもいいと思います。そもそもそういう違法行為を行っている会社というのは、自分たちの言動が一歩外に出れば通用しない、裁判で争ったら絶対に負けるということは分かっていますから、それ以上は強く出てきませんよ。一人で悩まず、誰かに相談するということが一番だと思います」

退職届を出したはいいが、その後2週間も出社しなければならないと思うと気が重い。また、その間、さらにひどい仕打ちが待っている可能性もある。だが、民法では「やむをえない正当な理由がある場合は、ただちに雇用契約を解約できる」という条文があり、それを使えば、即日解約できるケースがほとんどだという。また、最終的な手段として2週間出社しない、というのもアリだ。その間の給料は発生しないが、とにかく調子が悪いと言い続けるか、有給休暇が残っているのなら、その消化を理由に辞めるのも手だという。 労働者がブラック企業と対峙する場合、一人では限界があります。やはり理不尽に対抗するには、複数の力です。ブラック企業に対しては、労働者が団結していくというのもひとつの手です。

「基本的に労働者は、職業選択の自由もあれば、強制労働も禁止されている。経営者側から無理やり強制される理由はないんです。大切なのは、その人自身がそういう強い気持ちでやれるかどうか。結局のところ、この問題は労使関係を変えていくしかないんです。どうしたら働く人たちが力をつけていけるのか、というのが本質なんです」

 とはいっても、世の中不況真っただ中。仕事があるだけありがたい、という風潮もある。大多数の人にとって、経営者に噛み付くなんてとてもじゃないが考えられない。だが、だからこそ労組を作る必要がある、と須田さんは言う。

「みんな、ブラック企業に当たってしまった自分は運が悪くて、転職すればホワイトな会社に行けるんじゃないかという幻想を抱いている。でも、僕らは7000件の事例を見ていますが、大企業から中小零細まで、正直、ブラック企業ばっかりなんですよ。そこを“運が悪い”と捉えるのではなくて、その環境をどう変えていくか。ブラック企業に入らないようにするのではなく、入った後どうするのか。みんな、自分や家族の生活を守るために隣で働いている人を出し抜いたり、足を引っぱったりして自分だけ生き残るという処世術を身につけてしまっていますが、それは破滅への道でもある。企業内で労働者が立ち上がらなければ何も変わりません。一人では弱いけれど、数が多くなればなるほど力も強くなり、労働者と対等な立場に立てるんです」

 実際、労働相談センターでは、中小零細企業に労組を作ってきた実績がいくつもあり、最近では、東京メトロの駅売店に労組を作ることに成功している。ここで働く女性のほとんどが契約社員で、手取りは12~13万円程度。仕事内容はほとんど変わらないのに、正社員との待遇は天と地の差。そこで須田さんたちが間に入り、有給での忌引き休暇や昼食の補助、また微額ではあるが、昇給制度といった要求をメトロ側に認めさせたという。

「労組は2人以上集まれば組織として認められます。細かい手続きなど必要ありません。会社にとっては厄介な存在ですが、労組は憲法で認められた権利ですから、経営者は不正に解雇したりできない。そこから地域の労組と協力することで、さまざまな交渉ができるようになります。労組というと何かイデオロギーや人権意識が強くないとできない、と思っている人も多いかもしれませんが、そんなことはありません。海外ではごく普通なことですよ。労働三権はすごくよくできたものですし、私たちはそれをもっと上手に生かしていくべきだと思います」

 「ブラック企業」と聞くと、一刻も早く抜け出すことが先決だと思われがちだが、それでは負の連鎖は終わらない。そこから一歩踏み込み、自分で環境を変えていく努力、そして労働者の意識改革が求められている。 (文=編集部)

(引用終わり)