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事例紹介

【こんにちは!あかちゃん 第23部】これってマタハラ?<5完>竹信三恵子さん 杉浦浩美さん

2014年12月4日

2014年11月15日 西日本新聞の記事です。

http://www.nishinippon.co.jp/feature/life_topics/article/127256

 

 

(引用はじめ)

《マタニティーハラスメント(マタハラ)という言葉によって、働く女性が妊娠で直面してきた長年の問題がようやく認識され始めた。私たちは今後どうこの問題に向き合えばよいか、識者2人に聞いた》

 ●和光大学教授(労働社会学) 竹信三恵子さん 「標準労働者」の転換を

マタハラを防ぐ法律はある。だが罰則規定がなく、企業名を公表する制裁制度は1度も使われていない。企業は現状でいいと思い、労働者は言っても駄目だろうと我慢してきた。行政はより厳正に対応すべきだ。

根っこにあるのは労務管理の問題。日本の「標準労働者」はいまだに、妻がいて育児や介護に時間を取られず、会社の言うとおりに残業や転勤ができる「働く機械」が求められる。それに合わない働き手は男性でも排除されてしまう。マタハラはその一例なのだ。

マタハラで受ける心の傷は根深い。子どものせいでひどい目に遭ったと思う一方、そう考える自分を責め、子育てに喜びを持てなくなる人。ハラスメントを免れる夫に腹が立ち、夫婦仲が悪くなる人。会社が嫌になって働く意欲まで失う人もいて、社会的損失は大きい。

片や産まない女性や産めない女性も、しばしば子どもがいないことでハラスメントを受けている。「子どもがいないと一人前じゃない」「産むべきなのに『働く機械』になっている」などと。だから「仕事も子どもも両方ほしいなんてわがまま」という怒りを抱きがちで、女性が力を合わせて闘うことが阻まれている。

女性が生きていれば、子どもを産むこともある。男性も病気になったり、誰かを介護したりすることもある。こうした状況に働き方を寄り添わせる、ごく当たり前の労務管理が欠けていた。「標準労働者」のあり方を転換していく必要がある。

 ●立教大学社会福祉研究所特任研究員(社会学) 杉浦浩美さん 男社会の経営感覚甘い

マタハラと聞くと、「ひどい会社だね。うちでは妊婦も元気に働いているよ」と他人ごとのように言う人もいる。本当にそうだろうか。妊婦が弱音を吐けば「だったら辞めれば」「無理しなくていいじゃない」と言われかねない。だから仕事を続けたい女性たちは、周囲に迷惑をかけないよう「元気」に頑張ってしまい、頑張りすぎて流産してしまう人もいる。「ぎりぎりまで頑張る働き方が当たり前」という職場文化も、構造的なマタハラだと気づいてほしい。

「会社は利潤の追求が使命であり、甘いことは言ってられない」との議論が必ず出るが、逆に、そんな考え方こそ「甘い」のではないか。少子高齢化で労働人口の減少が進む中、いろいろな「事情」を抱えた人を排除していたら働き手はいなくなる。事情も織り込み済みの経営が求められている。

日本の職場はこれまで「働く妊婦」について学んでおらず、妊婦を過剰に排除したり、逆に過少な配慮で必要な措置も与えていなかったりする。学習すれば、「大したことじゃない」と分かるはずだ。

「女性の活躍」を掲げる政府の意識も気になる。問題はどんな女性が活躍するかだ。例えば政府は、家事支援をする外国人労働者の一部受け入れを目指している。これは働く女性の家事や育児の負担軽減を減らして、男性並みに働けということであり、男性社会を勝ち抜く女性しか活躍できないシステムなら、従来と何ら変わらない。

=おわり

(引用おわり)