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事例紹介

過労死防止法 働く人の命を守る社会に 山陽新聞社説

2014年11月18日

2014年11月7日 山陽新聞社説です。

http://www.sanyonews.jp/article/92093/1/?rct=shasetsu

(引用はじめ)

働き過ぎで、尊い命が奪われるような社会は変えなければならない。

過労死や過労自殺を防ぐ対策を国の責務とする過労死等防止対策推進法が1日から施行された。今月は初の「過労死等防止啓発月間」(毎年11月)である。

法制定は、大切な家族を失った遺族らの悲願だった。法整備を求める声の高まりを受け、党派を超えた国会議員連盟が昨年発足し、今年6月に議員立法で成立した。

過労やストレスは脳や心臓の疾患を招くだけでなく、うつ病などの精神疾患から自殺に至る場合がある。厚生労働省が脳・心臓疾患による死亡で労災認定したのは2013年度で133人、過労自殺(未遂を含む)は63人だった。労災申請に至らないケースも多いとみられており、専門家は「数字は氷山の一角」と指摘している。

防止法は「業務における過重な負荷による脳・心臓疾患や精神障害を原因とする死亡と自殺、またはこれらの障害」を「過労死等」と定義し、「国は防止対策を推進する責務がある」と初めて国の責務を明記した。

過労死を社会全体の問題として受け止め、対策に取り組む姿勢を明確にした意義は大きいといえよう。ただ、防止法は理念を示すのが主な目的で、長時間労働の制限や罰則までは定めてはいない。

国は今後、過労死の実態調査を進め、防止対策に関する大綱を定めることになっている。厚労省は協議会を設け、遺族や労使代表らから意見を聴いた上で作成する方針だ。実効性のある対策を盛り込まなければならない。

過労死を招いてきたのは、長時間労働を前提とする日本の労働慣行だ。連合のシンクタンク、連合総研が実施したアンケートでは、9月に男性正社員の53%が残業したと回答し、「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業も少なくなかった。

防止法には、政府の施策に協力する企業の責務も明記された。長時間労働を是正していくには、企業側の意識改革が急務といえる。

今月4日には注目すべき判決が出た。飲食店チェーンの店長だった男性(当時24歳)が自殺したのは長時間労働とパワーハラスメントが原因として、両親が経営会社と上司らに損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は約5790万円の支払いを命じた。

上司と社長の個人責任を認める一方、自殺した本人に過失はないとし、賠償額の過失相殺をしなかった。過剰な労働を強いる企業の姿勢に対し、司法が警鐘を鳴らしたといえよう。

防止法にうたわれているように、過労死は社会全体にとっても大きな損失であることを共通認識にしたい。政府が掲げる女性の活躍推進も、長時間労働を前提とした働き方の見直しなしには進まないだろう。

(引用終わり)