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事例紹介

始業前出勤 強制か心掛けか 「出勤遅延未遂」責められた駅員が自殺

2014年3月2日

2013年4月中日新聞 東京新聞 「はたらく」欄より

http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013040502000144.html

(引用はじめ)

<はたらく>始業前出勤 強制か心掛けか 「出勤遅延未遂」責められた駅員が自殺

「朝活」ブームで、早朝から一日のスタートを切る人も多い。だが、それが仕事絡みで上司の指示に基づくなら、時間外労働として扱われ、労働基準法の制約を受けるのが筋だ。始業前出勤はあくまで自主的な心掛けか、それとも事実上の強制か。はざまで苦しんだ駅員だった男性のケースを追った。 (三浦耕喜)

 今年一月十七日。滋賀県内の山林で、二十一歳の男性が自ら命を絶った姿で見つかった。男性はJR東海に入社して二年。駅員だった男性は寮から姿を消し、家族や友人が行方を捜していたのだ。

 家族が上司から聞いた説明で、経緯が浮かび上がってきた。男性は以前、始業時間に遅刻したことから、定時より一時間前に出勤するよう「奨励」されていたのだ。

 失踪する数日前、男性は定時の二十分前に出勤した。だが上司は、一時間前に出勤しなかったことを理由に、「出勤遅延未遂」と指摘。理由を明らかにするように、プライベートを含めて、前日からの行動記録を提出するよう求めた。

 その提出期限は男性の休日だったが、職場に来て提出するよう約束させた。しかし、男性は期限に現れず、行方が分からなくなった。

 以前に遅刻した際、男性は一週間にわたって勤務を外され、「反省」を迫られる経験をしている。失踪の前日、近所のホームセンターで男性はロープを買っていたことが、見つかったレシートで分かった。男性の父親(55)は「息子が遭ったのは明らかないじめであり、パワハラだ。遅刻未遂とは、遅刻していない意味のはず。なぜ自殺に追い込まれるまで責められなければならなかったのか。会社は明らかにするべきだ」と話す。

     ◇

 始業前に余裕を持って出勤するのは、一般的には仕事をスムーズに運ぶ上で良いこととされる。だが仕事に密接に関わることは本来、労働時間に含まれる。例えば制服や作業着に着替える時間。これを争った大手造船会社の勤務をめぐる裁判では二〇〇〇年三月、着替え時間も労働時間に含まれると最高裁が判断した。

 判断の基準は「労働者の行為が、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否か」だ。朝礼や打ち合わせなど、上司が仕事の方針や手順を示し、それに参加しないと仕事上、本人の不利益になる場合は「指揮命令下」に当てはまる。

 では、始業前に有志で勉強会を開く「朝活」はどうか。その場合、本人の自由意思で参加している限り、労働時間には入らない。だが、その「朝活」を上司が奨励し、昇進や給与、待遇を判断する材料となる場合は、「指揮命令下」である疑いは濃くなる。

 会社側が始業前出勤を労働時間と見なさない以上、始業前に出勤しないことを理由に本人の責任を問うことは本来できない。自殺した男性のケースでは、一時間前の出勤「奨励」が事実上、上司の指示に基づく強制だったのかどうか、あくまで「奨励」なら、上司が遅刻の「未遂」をただしたことが正当だったのかどうか、が問題となる。

 労働法制に詳しい労働弁護団の鵜飼良昭会長は「時間厳守と言いながら、働く者の時間を守っていないのは会社側だ。大幅な定時前出勤を奨励すること自体、法の精神に反している」と指摘する。

 男性の自殺について、JR東海広報部は本紙の取材に対し「当社と遺族との関係なので、コメントはしません」としている。

(引用終わり)

おそらく、この上司は、「反省を促すためで、業務の範囲内」というでしょう。しかし、行き過ぎた勤務外しや、プライベートの公開、などは厚生労働省が言うパワハラの行動類型のうちの、「過大な要求」(参考はこちらhttp://ameblo.jp/syokuba-kankyou-kaizen-k/entry-11499145442.html )にあたると思われます。

ただ、この上司の行為だけが、自殺の原因とは考えにくい部分もあります。パワハラが関わる自殺には、プライベートでの要因が絡むこともあります。したがって、自殺の原因がすべて、この上司の行為に帰結するとは断言できないのです。

しかし、プライベートにおいて、何らかの抑圧があった場合、それをさらけ出す事は、自己否定につながり、死しか見えなくなる、ということは十分に考えられます。ということは、上司の行為が自殺の誘因になった可能性は否定できません。

この記事は、上司の行為が「指揮命令下」で行われたかどうかを問題にしているようですが、私の視点は違います。

強制性があろうとなかろうと、上司の行為が何らかの抑圧を伴い、自殺を誘引したことに問題があるように思います。 直接の因果関係が認められなくても、職場としては問題意識をもって、パワハラ対策に乗り出さなくてはならないと思います。