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事例紹介

IT業界のメンタルヘルスの実態

2014年2月27日

[メンタルヘルス不調者の7割が上司や人事に相談できず、主要因はマネジャーの力不足やパワハラ]

というタイトルの記事がありました。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130402/468061/?top_tl1

長い記事ですが、引用いたします。

 

(引用はじめ)

メンタルヘルス不調という「心の病」は、IT業界が抱える、解決の糸口が見えない根深い問題──。そうした厳しい現実を改めて浮き彫りにするアンケート結果が出た。この問題から目を背けないためにも、結果をきちんと検証したい。

今回の「ITpro会員100万人に聞く!ICT大調査」ではメンタルヘルスについて質問した。すると1週間のアンケート期間中に、これまでで最大の583人から有効回答を得た。メンタルヘルス問題に対する関心の高さがうかがえる。回答者の約60%が40~50代であり、中間管理職(ミドル)層の問題意識が高いのも特徴だ。

最初に結果を要約すると、こうなる。

「回答者の約40%がメンタルヘルスに不調を感じ、多くの人は5年以上も前から慢性的に苦しみ続けている。だが不調を感じる人の約70%は、上司や人事部門に相談できず、悩みを抱え込んでしまったまま。メンタルヘルス不調の主たる要因には『マネジャーの能力不足やパワハラ』『職場のコミュニケーション不足』を挙げる人が多かった」

私はこのなかでも「約70%は上司や人事部門に相談できずにいる」という苦しい現実と、メンタルヘルスの不調は「5年以上前から続いている」という問題の長期化と放置に、大きな課題を感じた。これは、IT業界が従業員のメンタルヘルス問題の解決を先送りにしてきた結果にほかならない。

ITproは2000年のスタート以来、何度もメンタルヘルス問題を取り上げてきた(関連記事:専門家がこっそり教える「メンタルヘルス対策」のキーワード)。だが13年前よりも、今の状況はむしろ悪化していると考えた方がいいだろう。

「不景気」が問題の本質ではないのは明らか

では、6つの問いの結果を順に見ていこう。

最初のQ1は、あなたはメンタルヘルスに不調を感じますか(図1)。「はい」と答えたのは、39%の230人である。メンタルヘルス問題に関心がある人が回答しているというのもあるが、それにしても約4割がメンタルヘルス不調というのは見過ごせない数値の高さである。

図1●Q1.あなたは自分のメンタルヘルスに不調を感じますか。
図1●Q1.あなたは自分のメンタルヘルスに不調を感じますか。

メンタルヘルス不調を感じる人(Q1で「はい」と回答した人)が、いつ頃から不調を感じるかを聞いたのがQ2だ(図2)。すると半数の116人が「5年以上前から」と答えた。問題が長きにわたっていることが分かる。

図2●Q2.Q1で「はい」と答えた方にお伺いします。いつ頃から不調を感じるようになりましたか。
図2●Q2.Q1で「はい」と答えた方にお伺いします。いつ頃から不調を感じるようになりましたか。

リーマンショック後の不景気がIT業界のメンタルヘルス問題に大きく影響しているのかを確認するため、「3年前(リーマンショック後)」という選択肢も用意したが、5年以上前からの回答が2倍以上も多かった。

後ほど紹介する図6で、メンタルヘルス問題に影響を与えていると考えられるものを複数回答で選択してもらっているが、「不景気」という外的要因はトップ5には入っていない。それよりも、職場の内的要因を理由に挙げる人が、圧倒的に多い。

そして、大きな問題は次のQ3だ。メンタルヘルス不調を感じる人(Q1で「はい」と回答した人)が、上司や人事部門に相談を持ちかけたり、不調を訴えたりしたか(図3)。何と68%の165人が「いいえ」と回答した。

図3●Q3.同じくQ1で「はい」と答えた方にお伺いします。上司や人事部門などに相談を持ちかけたり、不調を訴えたりしましたか。
図3●Q3.同じくQ1で「はい」と答えた方にお伺いします。上司や人事部門などに相談を持ちかけたり、不調を訴えたりしましたか。

これだけメンタルヘルス問題がクローズアップされるようになった現在でも、会社に相談できずに悩み苦しむ人が多いのが実情なのである。

メンタルヘルス問題の難しさは、ここにある。とにかく、言い出しにくい。長期化する理由の1つは、ここにあるだろう。

「メンタルヘルス不調を会社に申し出れば、評価が下がって、現状通りの職場復帰は不可能なのが実情だ」(50代、男性、ユーザー企業)という声も寄せられていた。

メンタルヘルス問題に向き合う会社は「半分程度」

ここで目先を変えて、全ての回答者に「あなたの周りにメンタルヘルスの不調と思われる従業員はいますか」と聞いたのがQ4だ(図4)。すると、69%の400人が「はい」と答えている。つまり、メンタルヘルス不調はほとんどの会社で、決して珍しいものではない。

図4●Q4.あなたの周りには、メンタルヘルスの不調と思われる従業員はいますか。
図4●Q4.あなたの周りには、メンタルヘルスの不調と思われる従業員はいますか。
にもかかわらず、「会社はメンタルヘルス問題に真剣に取り組んでいると思うか」という問いの答えは、こうだ(図5)。ちょうど半数ずつ、「はい」と「いいえ」に分かれた。

図5●Q5.あなたの会社は従業員のメンタルヘルス問題に対し、真剣に取り組もうとしていると思いますか。
図5●Q5.あなたの会社は従業員のメンタルヘルス問題に対し、真剣に取り組もうとしていると思いますか。

「いいえ」と答えた人の会社では当然ながら、周囲に相談しにくいだろうし、問題は長期化する。この割合をそのままIT業界全体に当てはめるのは無理があるにしても、半数近い会社でメンタルヘルスに対する社内体制の整備が遅れているのかもしれない。

「メンタルヘルス不調者に『頑張れ』とは言えないし、現場での対応は難しい。気軽に相談できる専門医や窓口などの体制整備が必須」(50代、男性、SI/コンサルティング)といった声が聞かれる一方、「当社にもメンタルヘルス不調による長期休職者が複数いたが、復職プログラムの整備で随分と改善した」(50代、男性、その他)という制度改善の効用も報告されている。

最後に複数回答で、メンタルヘルス問題に影響を与えていると思われる項目を選んでもらった(図6)。上位の5つは「マネジャーの能力不足やパワハラ」「職場のコミュニケーション不足」「人手不足」「長時間残業」「人事制度の不具合」となる。先述した通り、「不景気」は7番目にすぎない。

図6●Q6.メンタルヘルス問題に影響を与えていると思われるものはどれですか。当てはまるものを選択してください(複数回答可)。
図6●Q6.メンタルヘルス問題に影響を与えていると思われるものはどれですか。当てはまるものを選択してください(複数回答可)。

それよりも、IT業界で働く管理職のマネジメント能力や従業員同士のコミュニケーション、そしてIT業界が抱える人手不足や長時間残業という構造的な問題が、従業員の心に重くのしかかっていることが分かる。

「メンタルヘルス問題は再発性が高いのが特徴。特に職場復帰後の受け入れ体制について、管理職への教育が必要だと考えられる」(40代、男性、その他)という意見もある。

組織風土や文化、人事制度も、IT業界が改善すべき喫緊の課題だろう(関連記事:971人の回答から見えたIT業界の悲しい組織風土の現実、半数が「同僚のことをよく知らない」)。

最後に1つ、私がこれまでメンタルヘルス問題を取材してきたなかで感じてきたことを追記しておく。影響を与えている項目の最後に「家庭やプライベートの問題」という選択肢を加えたのは、メンタルヘルス問題は「プライベートと仕事の複合要因」で発症するケースが多々あるということからだ。

メンタルヘルス問題に前向きに取り組む企業ほど、会社が設ける相談窓口では「プライベートな悩みまで含めた自由な相談」を受け付けていることが多い。未婚者なら恋愛の悩み、既婚者なら家庭や夫婦、子供、親の問題など。これらの問題に加えて、職場でも人間関係などに苦しむようになると、ある日突然、心が折れる時があるようだ。

メンタルヘルス問題に限っては、必ずしもプライベートと仕事を分けて考えることはないのかもしれない。

自由意見にも様々な声が集まった。回答者の生の声を最後にまとめておく。参考にしてほしい。

様々な原因で、顧客と会社の板挟み状態に陥ることがある。その状態を敏感に察知し、手を差し伸べることができる上司や同僚が少ない。その結果、ストレスで押しつぶされてメンタルヘルス不調に陥ることが多いのではないか。商習慣的な側面もあると思う。(60代以上、男性、ユーザー企業)
形式的なメンタルヘルスへの対応研修は実施されているが、具体的な方法や改善策が示されない。現場任せになっている。(50代、男性、IT関連ハード/ソフトのメーカー/ベンダー)
最近、周りに中間管理職でのメンタルヘルス不調の人が多い。人手不足のため、中間管理職に負担がかかっていると思う。(40代、男性、SI/コンサルティング)
ソフトウエア開発はお互いの開発内容が異なり、パソコンに向かう作業も多いため、コミュニケーションが取りづらいことが多い。人と人とのコミュニケーションとなる潤滑剤が必要だと思う。(60代以上、男性、SI/コンサルティング)
残業が当たり前という気風がある。効率よく仕事をこなして定時に帰ると、暇と見られたりするのがその最たる例。非常にやる気が削がれるので、何とかしてほしい。コスト的にもおかしいはずなのに、効率が悪くても、長時間働いている人がよいと見なされるなんておかしすぎる。(30代、男性、SI/コンサルティング)
IT業界では顧客企業の理解が必要だが、ほとんど考慮されることはない。(50代、男性、SI/コンサルティング)
IT関連業務は機械的な作業が連続するなど、精神的に追い詰められやすい。適度な休憩や休暇をうまく活用して気分のリフレッシュをするように私は努めているが、それも上司の理解があって初めて成り立つことだと思う。上司との信頼関係や理解を得られるような関係または制度が求められる。(40代、男性、ユーザー企業)
私も一時期、自律神経失調症になりかけた。相談できる窓口が必要だと思う。その窓口が、会社と完全に独立していることが重要だと感じる。(30代、女性、SI/コンサルティング)
ICTが日常業務の随所に組み入れられた結果、システムの複雑化や障害発生時の影響度合いが大きくなり、止められないシステムがほとんどになっている。システム保守などは日中に行うことができず、夜間・早朝の対応が当たり前。障害への対応も常に緊急事項となり、昼夜を問わずに対応を迫られる。これらに携わるシステム部員の精神的なストレスは年々高くなっている。(50代、男性、ユーザー企業)
客先への常駐エンジニアに、メンタルヘルス不調者が多い。職場でのサポート不足や常駐先の環境などに対する法律があってもいい気がする。(30代、男性、SI/コンサルティング)
(引用おわり)

 

 

IT業界に関する記事ですので、特有の事由があると思いますが、長時間の沈黙と、パソコンとのにらめっこ、その上長時間残業に上司のマネジメント不足とパワハラ・・・・・ この中でも私が注目したのは、「コミュニケーション不足」です。

私は、前回、パワハラが起こっている職場は挨拶が無い、と言いました。

挨拶が無いということは、すなわちコミュニケーションが欠如している、ということです。

会話は、人の心を支える大事なものです、コミュニケーションの核、といっても良いかもしれません。

何気ない話をする、何気ない話ができる環境を作る、というのは、明るい職場作りには欠かせないものだと思います。

業務上、沈黙が長く続くのは、IT業界、特にシステムエンジニアの宿命かもしれません。しかし、長時間の沈黙は、心が膿み、いびつになる要素があるということだと思います。

私はメンタルヘルスの専門家ではないので、感じたことを述べているだけですが、日々パワハラに対処する立場から見ても、コミュニケーション不足が、上司のパワハラにつながっているような気がしますし、マネージメント能力の育成に大きな阻害になっているような気がしています。