パワハラ防止を通して職場環境の改善を創造する職場環境改善工房

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事例紹介・お知らせ

「仕事ができる」から、職場環境なんてどうでも良いのか。

2014年3月5日

これは、先日、ある会社の社長さんから、ちらっと伺った話です。

他の経営者の方もいる歓談の場でしたので,詳しいお話までは伺えなかったのですが、 要は,経営指針に「人材の育成」を掲げて,推進もしていきたいのに、どんどんと人を辞めさせる課長職がいる。その課長職に何回も、もっと部下を大切にするよう、注意を促したのですが,逆に「ついて来れないのが悪い」と開き直る.しかも、非常に優秀だから、何も言えない。とのこと。

新聞 パワハラもっと詳しい状況をお聞きしないと分からないのですが,

人をどんどん辞めさせる、「(経営者側から見たら)優秀な管理職」は、いわば,諸刃の剣です. 個人の能力の高さから得ている使用者としての権力を背景に、部下を一方的な自己流で使いつづけている可能性が高いからです.そうなると、この管理職の元にいる人のモチベーションは下がっていて、それを強引な手法で「優秀な管理職」を演じている可能性が高いからです。

管理職とて,部署においては「使用者」であり、「使用者」も「法律」を守らねばなりません。 労働契約法第5条は,使用者に安全配慮義務を課しています.つまり、使用者(上司)は部下が、安全に働けるよう,配慮しなければいけないのです. しかし,何人も辞めさせているという事実からは,この課長職さんが安全配慮義務を怠っていることが窺えます.

ですから、上記の課長職さんは,ある意味,「成績さえ良ければ、法なんてどうでも良いし,職場環境なんてどうでもいい」と言っているようにも聞こえます.

しかし、職場環境を整えて,初めて成績うんぬんが言えるはず、しかも、この課長職さんは,社長さんが経営者・使用者としての義務を果たそうとしているのに,それを「営業成績を背景として」、社長のコンプライアンス遵守の姿勢さえ、無視していると言えるのではないでしょうか。

成績がいい、仕事ができる、というのは、コンプライアンス遵守の上に成り立つものです。

ですから、法を無視、コンプライアンスを遵守しない考えの下での、「仕事ができる」管理職は、

会社の存続そのものを否定する存在でもあります。巨大な損失の種を育てているのと同じです。

神奈川県で、中小企業向けにパワハラ防止マニュアルの配布が始まる。

2014年3月5日

読売新聞の記事です。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20130416-OYT8T01661.htm

(引用はじめ)

県は、職場での優越的な地位を背景とした嫌がらせ「パワーハラスメント」(パワハラ)の予防策などを解説したマニュアルを5000部作成し、県内の中小企業などに配布を始めた。

マニュアルはA4判約70ページ。「入門編」から「ケース別対応編」まで4章あり、実際の事例や判例をもとに作成した。パワハラ の実例として、「グループで行っている仕事の遅れを個人の責任とする」「飲み会への出席が少ないと、『付き合いが悪い』と叱責され続ける」などを挙げ、「社内でパワハラ防止指針を作成する」「社員の相談窓口を設ける」などの対策を講じるよう呼びかけている。

県かながわ労働センターに寄せられるパワハラ の相談は、2009年度の統計開始以来、11年度までの3年間で2倍近くに急増している。

これを受け、県は昨年7~9月、県内の企業1500事業所を対象に初めて実態調査を行い、計732事業所(大企業494事業所、中小企業238事業所)から回答を得た。

このうち、「過去1年以内にパワハラ の相談・苦情があった」と回答したのは大企業45・1%、中小企業28・6%。相談窓口の設置などの対策に「取り組んでいない」と答えたのは、大企業16・8%、中小企業35・7%だった。この結果を踏まえ、県労政福祉課は「特に中小企業にパワハラ防止のノウハウを伝えたい」としている。

(引用終わり)

自治体においても、パワーハラスメント防止対策に乗り出しているところが増えています。

特に中小企業において、パワハラ防止の取り組みが遅れていますので、こういう、中小企業向けに特化した取り組みは注目されます。

 

パワハラ 職場でどう取り組む 国、提言も減らぬ相談

2014年3月5日

 

パワハラはイジメです。

 

 

 

 

 

中日新聞 2013年3月1日の記事から

http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013030102000157.html

(引用はじめ)

職場のパワーハラスメントに関する相談が後を絶たない。国は昨年三月にパワハラの概念を定め、どういう行為がパワハラにあたるのか、典型的な行為も示した。対策を始める企業も増えてきたが、中小企業ではまだ少数派。本紙生活部に寄せられた読者の事例をもとに、パワハラの判断基準や職場の対処法を取材した。 (福沢英里)

 東海地方に本社を置く中小のメーカーで働く四十代の女性は、一般職の正社員として入社。二十年以上、総務を担当してきた。四年前に突然、畑違いの部署へ異動させられ、震災直後には月八十時間を超える残業もこなした。ところが昨秋、また別の部署へ。本来ならチームでやるべき難しい仕事を、一人で担当させられた。

 一人では対処しきれずやむなく中断。その仕事を放棄すると仕事がなくなるため、上司に窮状を訴えたが、返ってきた言葉に深く傷ついた。「飼い殺しにするのは気の毒だから、上にも相談したけど仕事はない」

 他の社員がいる前で大声で罵倒する、自覚を問いただすメールを他の管理職も読めるように一斉に送信する、といった嫌がらせも重なり、今年に入って心療内科を受診。「今の年齢で会社をやめると、正社員で雇ってもらうのは難しい」と精神安定剤を飲みながら出社する日が続く。

 国の提言には典型的な行為=表(上)=も示された。例えば冒頭の女性の場合、新しい異動先で課せられた仕事が、(4)の「遂行不可能なことの強制」にあたり、それができなければ仕事を与えない行為は(5)の「仕事を与えないこと」に該当する職場のパワハラと分かる。

 「パワハラ」の言葉を作り、企業向けの研修などを実施している「クオレ・シー・キューブ」(東京)によると、(1)(2)のような刑法に触れる行為や、人権侵害を証明できる行為は一回で「レッドゾーン」。(3)以降の項目は、継続的に行われるとパワハラと判断される「イエローゾーン」と考える。

写真

 しかし実際には、女性のように、明らかにパワハラと判断できるケースばかりではない。厚生労働省の実態調査でも、「パワハラかどうかの判断が難しい」を一番の課題に挙げる企業が、規模にかかわらず多かった。同社取締役の古谷紀子さんは「経営者がルールブックになっている中小企業もある。パワハラは許さないという姿勢を、トップが社員に示してほしい」と話す。

 職場でどう具体的に取り組めばよいか。判断指標として「パワハラ」と「指導」の違い=表(下)=の共有を勧める。パワハラなら「部下が萎縮する、退職者が多くなる」という負の結果になり、指導であれば「部下が責任を持って発言、行動する」との結果が得られるなど、違いは歴然だ。

 ただ、同じ行為でもパワハラになるかどうかは、根底にある人間関係にもよる。古谷さんは「自分も相手も大切にする、率直な自己表現を心がけて」とアドバイスしている。

◆進まない中小企業

 二〇一一年度に各地の労働相談窓口に寄せられた民事上の個別労働紛争相談は、約二十五万六千三百件で年々増加。そのうち、「いじめ・嫌がらせ」は約四万六千件で、前年度より約六千五百件増えた。

 厚生労働省が昨年末に発表した、四千五百八十社と従業員九千人対象の実態調査によると、過去三年間に「パワハラの相談を受けたことがある」企業は全体の45・2%。ただ、予防や解決に向け取り組んでいる企業は、従業員千人以上で76・3%だったのに対し、九十九人以下では18・2%にとどまった。

(引用おわり)

中小企業では、パワハラ対策が遅れているのは確かです。原因としては、なかなかパワハラのもたらすデメリットを実感できない、というのがありようです。また、パワハラ防止研修を行っても、実感が伴わず、より実効的な防止対策に踏み出せない、ということもあるようです。

職場環境改善工房では、個人のパワハラ相談を受けることで、現実のパワハラ事例を蓄積し、実態に即したパワハラ防止対策を企業様にご提案しております。

 

企業様へのパワハラ防止に関する職場環境改善工房の基本的な考えについては、こちらをクリックしてください

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日本でいちばん大切にしたい会社、で起こっていたハイパーパワハラ事件

2014年3月2日

 

このHPは、企業や法人にパワハラの未然防止をご提案している、「職場環境改善工房」のHPです。

このHPは、企業や法人にパワハラの未然防止をご提案している、「職場環境改善工房」のHPです。

 

みなさんは、昔、「日本でいちばん大切にしたい会社」という本が大ベストセラーになったのを覚えておいででしょうか。


世界で一番大切に確かに、すばらしい会社も紹介されていますが、実はここで紹介されている会社の中で、未払い賃金額、及び損害賠償額、1000万円近くに至った、パワハラ事件を引き起こした会社があります。(裁判は、現在東京高裁で和解成立)

長野県にある「アールエフ」という会社です。

新聞赤旗の記事

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-12-22/2012122214_01_1.html

自由法曹団のページより

http://www.jlaf.jp/tsushin/2013/1441.html#01

内容は、自由法曹団のページで弁護団の先生が書かれている記事があるので、それを引用しましょう。

(引用はじめ)

配転無効・解雇無効の完全勝訴判決の報告

長野県支部  内 村   修

一 二つの裁判で完全勝訴判決

二〇一二年一二月二一日、長野地方裁判所において、(株)アールエフの従業員二名が訴えた配転命令無効、解雇無効、損害賠償請求、時間外労働割増賃金請求、付加金の請求をいずれも認める完全勝訴判決が言い渡された(以下、「アールエフ裁判」という)。同時に、アールエフ裁判の係属中に、アールエフの他の従業員九名がアールエフ裁判の原告一名に対して求めた損害賠償請求は棄却するとともに、その訴訟提起が不当訴訟であるとして損害賠償を求めた反訴請求を認めるという画期的な判決も言い渡された(以下、この裁判を「従業員裁判」という)。

二 本件事案の概要と闘いの経過

(株)アールエフは胃カメラなど医療機器類の開発、製造、販売などを目的としており、長野本社の外に、東京、大阪、名古屋などにショールームを置いていた。社長は、社長ミーティングという会議を定期的に開催しては、酒を飲みながら従業員に対して罵声や悪口を浴びせるなどのパワハラを繰り返していた。二〇〇九年三月、大阪店で開催された社長ミーティングで大阪店従業員であったY氏は、自分の意見を言ったところ、社長から長野本社への転勤を命じられた。Y氏が転勤命令の理由を聞いたところ、社長は「嫌なら会社を辞めなさい。私はクビに出来る、アフリカに飛ばすこともできる。」などとパワハラ発言をした。Y氏及び社長の意見に賛同しなかったM氏もY氏の同調者と見なされて、ともに長野本社へ「研修目的」での配転命令がなされた。Y氏とM氏は異議を留めて長野本社に転勤したが、そこでは、会社ぐるみの退職強要行為が繰り返された。

そこで、Y氏とM氏は、退職強要禁止の仮処分を申し立て、退職強要をしないという訴訟上の勝利的和解が成立したにもかかわらず、会社側はそれ以降も和解条項に違反して様々な退職強要行為を繰り返したために、二〇〇九年九月、配転命令無効、損害賠償請求、時間外労働割増賃金請求、付加金の請求の訴訟を提起した。その裁判係属中の二〇一〇年一月、会社はY氏に解雇通告したので、解雇無効・賃金仮払仮処分を申し立て、賃金仮払い仮処分決定が出された。その後、同年一二月、解雇無効、損害賠償の本訴裁判を提起した。その解雇無効、損害賠償の本訴裁判を提起した直後に、会社従業員から従業員裁判が提起された。

本件は、退職強要という違法目的のもとに会社ぐるみの組織的一体となった様々な嫌がらせ、配転命令、解雇を受けた原告ら二名が組合(化学一般関西労組)に加盟し、組合や支援者の支援を受けて約三年半掛かって勝ち取った勝訴判決である。アールエフ裁判は会社側が控訴したが、従業員裁判は控訴を断念し本件勝訴判決が確定した。

パワハラ 対処三 本件判決の意義

アールエフ裁判の第一の意義は、配転命令及び解雇が退職強要行為の一環としてなされたことを明確に認め、会社を断罪したことである。

まず、判決は、配転命令が被告が原告らを退職に追い込む「退職強要行為の一環として行われたことは明らかである」として、「配転命令が不当な目的により権利を濫用して行われた」、「社長の主導により、社長の意を体した被告従業員が退職強要をおこなったもの」、「被告が原告らに対して行っていた退職に追い込むための精神的圧迫は、極めて執拗かつ陰湿で不当」であり、「これによって原告らが受けた精神的苦痛は非常に大きいというべきである」と認定した。

また、「本件解雇は、被告から原告Yを排除するために不当に行われたものである」上、「被告があげる具体的な解雇事由はいずれも事実として存在しないか、解雇事由となり得ないものである」から、「解雇権を濫用したもので無効」とし、解雇に関する損害賠償についても、「被告が行った精神的圧迫はその執拗さ、陰湿さ及び悪質さからして、会社ぐるみの退職強要としても類を見ないものであり、原告Yが被った精神的苦痛は筆舌に尽くしがたい」とまで認定している。

第二の意義は、恒常的に時間外手当を支給しない会社に対して、不支給の説明が変遷して一貫性がないこと、サービス残業としての休日出勤を半ば強制している等の違法性・悪質性を考慮し、「付加金(労基法一一四条)の支払いを免れるような事情はない」として、その支払い義務を認容したことである。

更に従業員裁判では、「原告らが個人として真摯に本件訴訟を追行しているものとは到底考えられず、被告(アールエフ裁判の原告Y)が会社に体して本件別訴を提起していることに関連して、原告らが被告に体して不当に圧力を加えるために本件訴訟を行っていることが強く推認される」、「本件訴訟の提起字体が裁判制度の趣旨目的からして著しく相当性を欠く不当なものである」と認定して、原告らの本件訴訟の提起は「共同不法行為に該当する」として損害賠償を認め、不当訴訟であることを明確に認定した点に意義がある。

四 本件裁判の教訓、全面解決に向けた新たな決意

本件裁判で完全勝利をしたのは、原告の毅然とした態度の堅持にある。原告らは、会社ぐるみの組織的一体となった退職強要行為にも屈せず、組合と支援者の支援を受けながら闘い通した(但し、原告M氏は体調を壊し休職を余儀なくされる事態にまでなった。)。 原告らは、会社の違法な実態を証拠に残すためにも出来る限り録音を取っており客観的証拠を得ることが出来たこと、その他にも原告の行動に心情的に協力する社員から情報を提供されたり、退職した社員が原告側証人になってくれたりしたのも勝利の要因に繋がった。原告らの思いは、「風通しのいい物を言える会社にしたい。泣き寝入りして辞めていく社員をこれ以上出したくない。」という一点であった。この思いが裁判官の琴線に触れる判決文に強く反映したものとなった。

アールエフ裁判は、今後東京高裁に場を移すが、同時に現在中労委に継続している不当労働行為(大阪府労委ではアールエフの行為を不当労働行為と認定し救済命令を出したが、会社が中労委に異議申し立てた。)の勝利命令も勝ち取り、全面解決を図るべく、原告らと支援者は、意気揚々と新たな闘いの雄叫びを挙げている。(なお、弁護団は、山﨑泰正団員と鏡味聖善弁護士と私)。

(引用終わり)

 

 

つまり、違法なパワハラ、退職強要、配転命令、団体交渉拒否を繰り返した挙句、従業員に対して、原告への損害賠償請求を起こさせる、というとんでもない事件です。

しかし、私はこの事件に対する、原告の毅然とした姿勢に敬意を表します。 この精神力の強さは、賞賛に値するものでしょう。また、「風通しのいい物を言える会社にしたい。泣き寝入りして辞めていく社員をこれ以上出したくない。」という思いは、私の経験から言っても、パワハラに対抗する唯一の指針と言っていいものであり、それを貫く原告の方に惜しみない拍手と応援のエールを送りたいと思っています。

 

 

■職場環境改善工房では、パワハラ被害者の裁判支援も行っております。

人権侵害著しい裁判については、一部内容を公開しています。(以下、それぞれクリックして下さい)

 

格侵害となるパワハラメールは、実際に裁判における訴状でどのように書かれるのか。

 

 

 

 

 

 

 

パワハラ事例。新聞に寄せられた記事より

2014年3月2日

2013年4月中日新聞・東京新聞 <はたらく> 記事より

http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013041202000158.html

(引用はじめ)

<はたらく>一人で悩み辞職悔やむ 「パワハラ」の本欄記事に反響

三月一日本欄で、職場のパワーハラスメントについて、国が昨年三月に示した概念や典型的な行為を紹介したところ、「パワハラの定義を正しく知らなかった」など、多くの声が読者から寄せられた。パワハラと指導の境が分からず悩む声や、家族の職場環境を心配する声も多かった。その一部を紹介する。 (福沢英里)

■仕事与えられず

 「パワハラとは言葉の暴力や過剰な説教というイメージだった。無視、隔離といった行為もパワハラと初めて知った」。システムエンジニアとして約三十年、複数の職場で働いてきた東京都内の男性(48)は話す。

 昨年五月、通信会社の故障受け付けシステムを開発する仕事を請け負った。だが、数カ月たつと発注先から作業費が出なくなり、仕事がなくなった。あいさつをしても周囲に無視され、会議にも一人だけ呼ばれない。ネットもメールも使えなくなり、一日八時間を通信会社でボーッとして過ごすだけ。

 「日々自分が壊れていく感じ」がして、精神的に不安定になり、今年二月に仕事を辞めた。専業主婦の妻と大学生の長男との三人家族で住宅ローンも残っているため、心療内科に通いながら職探しを続けている。

 厚生労働省が示した典型的な行為=表=によると、男性が職場で受けた扱いは、(3)の「隔離・仲間外し・無視」や(5)の「仕事を与えないこと」に当たる。男性は「仕事がなくなり、辞めてもらいたかったのでは」と振り返る。同時に「もっと早く知っていれば、辞める前にどこかに相談できたかも」と、悔やむ気持ちも吐露した。

 以前勤めていた別の職場では、月百五十時間を超す残業や、一人で不可能な作業も押しつけられたという。一方、男性は後輩をきつくしかった過去を思い出した。思いやりで指導したつもりだが「気付かないうちに加害者になることもある。一人一人が気を付けるしかない」とも話した。

■守ってくれない

 念願のブライダル業界に昨春、就職した娘を持つ愛知県内の主婦(51)は「パワハラを決して許さないという毅然(きぜん)たる職場環境を切に望む」とつづった。娘は直属の上司による無視や仲間外れ、長時間に及ぶ説教、辞職を迫る言動が毎日のように続いたといい、二カ月もたたないうちに、うつ病を発症した。

 先輩や他の上司にも相談したが、「もっとひどいパワハラに耐えたから今がある」「今の若者はすぐにパワハラと騒ぎ立てる」などと言われ、守ってもらえなかった。うつの原因は「意志が弱いから」と、まるで本人に問題があるかのような考え方がまかり通る職場環境で、娘は心身ともに壊れ、先月退職を余儀なくされたという。

■教育の現場でも

 東海地方の私立大に勤める女性からは「仲間外れなどのパワハラは企業だけでなく、教育現場でも起こっている」とのメールが寄せられた。

 この大学では定員割れを防ぐため、文部科学省の勤務経験者が本部へ配属された。ところが、この人物は気に入らない職員がいると、暴言や脅迫などのパワハラ行為を繰り返した。その結果、三月末で退職する教員や職員が増えたという。

 女性の場合は、学内にある教職員の委員会メンバーから外される嫌がらせを受けた。「これが学生を教育する人間のすることでしょうか。学校のためなら、自分の言う通りに動く人間を置き、自分の思うように行動しても許されるのでしょうか」

(引用おわり)

新聞に寄せられた意見を紹介しているだけの記事ですが、非常に含蓄に富みます。

まず、タイトルどおり、ものすごい反響があったということ。世の中、パワハラに悩んでいる人はかなりいます。でも、どのように対処したらいいのかわからず、追い込まれていく様がよくわかります。

また、「パワハラとは言葉の暴力や過剰な説教というイメージだった。無視、隔離といった行為もパワハラと初めて知った」とあるように、何がパワハラかわからず、何も言えずに時を過ごして追い詰められていったということもあります。

結局のところ、まだパワハラは言葉だけが先行していて、対処法も防止対策も、何がパワハラにあたるのかも、周知されていない、という事を物語っている記事だと思います。

パワハラ防止対策としてのコミュニケーション円滑化

2014年3月2日

私はブログでこのようなことを申し上げました。

http://ameblo.jp/syokuba-kankyou-kaizen-k/theme-10068514951.html

パワハラ防止としての、コミュニケーションの円滑化は、実は多種多様でさまざまな方策をとることができます。そんなに経費をかけなくても、できることはあるのです。

たとえば、

・パワハラ防止の為の標語を作り、社内の数箇所に貼っておく

というのも一つのパワハラ対策でしょう。ただ、パワハラ防止というと、どうしても、「~~しません。」となってしまい、管理職の方や従業員の方を萎縮させがちです。

そこで、「~~しません。そのために~~します」という、積極的な行動指針を示す標語を掲げるのです。

「職場いじめをしません。そのために、一人一人、良いところを必ず見つけます。」

「暗い職場にはしません。そのために、感謝の言葉と、挨拶は、明るく元気にしていきます!」

もちろん、これは一例です。職場の事情に合わせて、さまざまな標語を掲げることができるでしょう。

また、

・メール、ほめ言葉コンテスト

なんてのを、社内イベントで実施するのもいいかもしれません。

いま、仕事のやり取りはメールが主流です。メールの言葉は、どこか殺伐としてて一方的です。メールの言葉に傷つけられることも多々あります。 メールの登場が人間のコミュニケーション能力を低下させたという指摘もあるぐらいです。

ですから、期間を限定して、メールでのやり取りにほめ言葉、感動させる言葉をできるだけ入れるようにして、社員の推薦した候補から、良い言葉を社員の間で選んで、表彰するのです。

これは、社員さんの時間をある程度とってしまいますが、楽しいイベントは積極性を生み出しますし、それがコミュニケーションの円滑化を促進させる可能性があります。

いま、挙げたのはほんの一例です。ですが、コミュニケーションの円滑化は、モチベーションの向上にもつながります。

智慧と工夫で、パワハラ防止対策は、いくらでもできるのです。

 

■職場環境改善工房では、パワハラ防止の提言をしています。

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■このHPには、200以上のパワハラ事例が載っています

さまざまなパワハラ事例について知りたい方は、こちらをクリックしてください。

 

■職場環境改善工房では、個人の方のパワハラ相談を承っております。

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始業前出勤 強制か心掛けか 「出勤遅延未遂」責められた駅員が自殺

2014年3月2日

2013年4月中日新聞 東京新聞 「はたらく」欄より

http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013040502000144.html

(引用はじめ)

<はたらく>始業前出勤 強制か心掛けか 「出勤遅延未遂」責められた駅員が自殺

「朝活」ブームで、早朝から一日のスタートを切る人も多い。だが、それが仕事絡みで上司の指示に基づくなら、時間外労働として扱われ、労働基準法の制約を受けるのが筋だ。始業前出勤はあくまで自主的な心掛けか、それとも事実上の強制か。はざまで苦しんだ駅員だった男性のケースを追った。 (三浦耕喜)

 今年一月十七日。滋賀県内の山林で、二十一歳の男性が自ら命を絶った姿で見つかった。男性はJR東海に入社して二年。駅員だった男性は寮から姿を消し、家族や友人が行方を捜していたのだ。

 家族が上司から聞いた説明で、経緯が浮かび上がってきた。男性は以前、始業時間に遅刻したことから、定時より一時間前に出勤するよう「奨励」されていたのだ。

 失踪する数日前、男性は定時の二十分前に出勤した。だが上司は、一時間前に出勤しなかったことを理由に、「出勤遅延未遂」と指摘。理由を明らかにするように、プライベートを含めて、前日からの行動記録を提出するよう求めた。

 その提出期限は男性の休日だったが、職場に来て提出するよう約束させた。しかし、男性は期限に現れず、行方が分からなくなった。

 以前に遅刻した際、男性は一週間にわたって勤務を外され、「反省」を迫られる経験をしている。失踪の前日、近所のホームセンターで男性はロープを買っていたことが、見つかったレシートで分かった。男性の父親(55)は「息子が遭ったのは明らかないじめであり、パワハラだ。遅刻未遂とは、遅刻していない意味のはず。なぜ自殺に追い込まれるまで責められなければならなかったのか。会社は明らかにするべきだ」と話す。

     ◇

 始業前に余裕を持って出勤するのは、一般的には仕事をスムーズに運ぶ上で良いこととされる。だが仕事に密接に関わることは本来、労働時間に含まれる。例えば制服や作業着に着替える時間。これを争った大手造船会社の勤務をめぐる裁判では二〇〇〇年三月、着替え時間も労働時間に含まれると最高裁が判断した。

 判断の基準は「労働者の行為が、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否か」だ。朝礼や打ち合わせなど、上司が仕事の方針や手順を示し、それに参加しないと仕事上、本人の不利益になる場合は「指揮命令下」に当てはまる。

 では、始業前に有志で勉強会を開く「朝活」はどうか。その場合、本人の自由意思で参加している限り、労働時間には入らない。だが、その「朝活」を上司が奨励し、昇進や給与、待遇を判断する材料となる場合は、「指揮命令下」である疑いは濃くなる。

 会社側が始業前出勤を労働時間と見なさない以上、始業前に出勤しないことを理由に本人の責任を問うことは本来できない。自殺した男性のケースでは、一時間前の出勤「奨励」が事実上、上司の指示に基づく強制だったのかどうか、あくまで「奨励」なら、上司が遅刻の「未遂」をただしたことが正当だったのかどうか、が問題となる。

 労働法制に詳しい労働弁護団の鵜飼良昭会長は「時間厳守と言いながら、働く者の時間を守っていないのは会社側だ。大幅な定時前出勤を奨励すること自体、法の精神に反している」と指摘する。

 男性の自殺について、JR東海広報部は本紙の取材に対し「当社と遺族との関係なので、コメントはしません」としている。

(引用終わり)

おそらく、この上司は、「反省を促すためで、業務の範囲内」というでしょう。しかし、行き過ぎた勤務外しや、プライベートの公開、などは厚生労働省が言うパワハラの行動類型のうちの、「過大な要求」(参考はこちらhttp://ameblo.jp/syokuba-kankyou-kaizen-k/entry-11499145442.html )にあたると思われます。

ただ、この上司の行為だけが、自殺の原因とは考えにくい部分もあります。パワハラが関わる自殺には、プライベートでの要因が絡むこともあります。したがって、自殺の原因がすべて、この上司の行為に帰結するとは断言できないのです。

しかし、プライベートにおいて、何らかの抑圧があった場合、それをさらけ出す事は、自己否定につながり、死しか見えなくなる、ということは十分に考えられます。ということは、上司の行為が自殺の誘因になった可能性は否定できません。

この記事は、上司の行為が「指揮命令下」で行われたかどうかを問題にしているようですが、私の視点は違います。

強制性があろうとなかろうと、上司の行為が何らかの抑圧を伴い、自殺を誘引したことに問題があるように思います。 直接の因果関係が認められなくても、職場としては問題意識をもって、パワハラ対策に乗り出さなくてはならないと思います。

労働調査会、『もう困らない!職場のパワハラの傾向と対策』 を発行

2014年3月2日

2013年4月ブログから

 

このたび、労働調査会というところから、パワハラに関する本が出たとのことです。

ソースはここです。

http://jinjibu.jp/news/detl/7261/

(引用はじめ)

「え?これもパワハラ?」 あなたももしかして、気付かぬうちにパワハラをしているかもしれません。 専門家の視点から解説したパワハラハンドブックができました!

このたび株式会社労働調査会(代表取締役・藤澤 直明)は、『もう困らない!職場のパワハラの傾向と対策』を2013年3月14日に発行いたしました。

【著者】 中村雅和(特定社会保険労務士:中村雅和社会保険労務士事務所所長) 中辻めぐみ(社会保険労務士、産業カウンセラー:中村雅和社会保険労務士事務所副所長) 片山雅也(弁護士:弁護士法人アヴァンセ リーガルグループ執行役員) 高野知樹(精神科専門医、労働衛生コンサルタント:医療法人社団弘冨会神田東クリニック院長)

【仕様】 判型:A5判 表紙4色+本文2色P40

■要約 近年、職場のパワハラの問題が顕在化され、企業は対策が求められています。また、昨年「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」の報告によって、職場のパワーハラスメントの定義づけがされました。

それを受けて本書は、社労士、弁護士、精神科医というそれぞれの専門家の立場から、わかりやすくパワハラの傾向と対策を書いていただきました。定義から何がパワハラなのかを解説し、パワハラが引き起こすさまざまな問題、予防対策を検討しました。パワハラの事例をもとにケーススタディも収録。パワハラってなに?という方でも、わかりやすいイラストを交えた一冊!

(引用おわり)

 

パワハラ対策の本は多く出回っていますし、対策を練られるなら、本を通読して参考にするのもいいでしょう。

その中で、どの本が一番いいのか、参考にされることもいいことだと思います。

 

また、パワハラの実態についてお知りになられたいなら、拙著の「パワハラ地獄敢闘記」(日本評論社)がお勧めです。

パワハラ地獄敢闘記

 この本は、私こと、原田芳裕の実際のパワハラ体験を、裁判所に証拠として提出した録音、文書をベースにして、事件の発生から終わりまで、克明に綴った本でリアルなパワハラ現場を知ることができる貴重な本です。(ここをクリックすると、新聞での書評記事にいきます)

老舗食品会社の部門長が部下に暴力、大けが

2014年2月27日

 

2013年4月 毎日新聞の記事から

http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20130404ddlk28040424000c.html

(引用はじめ)

海苔の佃煮「アラ!」などロングセラー商品で知られる老舗食品会社「ブンセン」(本社・たつの市)で3月、部門長が業務中に暴力を振るい、社員が胸の骨を折るなどの大けがをしていたことが分かった。

たつの署によると、社員から3月26日、傷害を受けたとして被害相談があった。発生は同5日。現在、被害届はまだ受理していないとしている。

同社では、事実関係を認めた上で、加害、被害両者とも男性従業員とし、発生を同5日午後4時前とした。この上で「業務指導上の出来事」との見方を示した。被害を受けた社員は、けがのため休業中という。

毎日新聞の取材に、社内調査を担当している総務部長は「誠にお恥ずかしい。社内規則上も暴力は当然許されず、パワハラ防止研修の強化を検討中です」と説明している

(引用終わり)

記事だけでは、なんとも言えませんが、加害者の方に懲戒処分は行われたのでしょうか。処分が無い上で、ただパワハラ防止研修の強化を検討するのであれば、社員の方の不信感が膨れ上がるのではないでしょうか。「社内規則上も暴力は当然許されず・・・」と述べていますので、これから処分が行われるとは思いますが・・・・

 

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IT業界のメンタルヘルスの実態

2014年2月27日

[メンタルヘルス不調者の7割が上司や人事に相談できず、主要因はマネジャーの力不足やパワハラ]

というタイトルの記事がありました。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130402/468061/?top_tl1

長い記事ですが、引用いたします。

 

(引用はじめ)

メンタルヘルス不調という「心の病」は、IT業界が抱える、解決の糸口が見えない根深い問題──。そうした厳しい現実を改めて浮き彫りにするアンケート結果が出た。この問題から目を背けないためにも、結果をきちんと検証したい。

今回の「ITpro会員100万人に聞く!ICT大調査」ではメンタルヘルスについて質問した。すると1週間のアンケート期間中に、これまでで最大の583人から有効回答を得た。メンタルヘルス問題に対する関心の高さがうかがえる。回答者の約60%が40~50代であり、中間管理職(ミドル)層の問題意識が高いのも特徴だ。

最初に結果を要約すると、こうなる。

「回答者の約40%がメンタルヘルスに不調を感じ、多くの人は5年以上も前から慢性的に苦しみ続けている。だが不調を感じる人の約70%は、上司や人事部門に相談できず、悩みを抱え込んでしまったまま。メンタルヘルス不調の主たる要因には『マネジャーの能力不足やパワハラ』『職場のコミュニケーション不足』を挙げる人が多かった」

私はこのなかでも「約70%は上司や人事部門に相談できずにいる」という苦しい現実と、メンタルヘルスの不調は「5年以上前から続いている」という問題の長期化と放置に、大きな課題を感じた。これは、IT業界が従業員のメンタルヘルス問題の解決を先送りにしてきた結果にほかならない。

ITproは2000年のスタート以来、何度もメンタルヘルス問題を取り上げてきた(関連記事:専門家がこっそり教える「メンタルヘルス対策」のキーワード)。だが13年前よりも、今の状況はむしろ悪化していると考えた方がいいだろう。

「不景気」が問題の本質ではないのは明らか

では、6つの問いの結果を順に見ていこう。

最初のQ1は、あなたはメンタルヘルスに不調を感じますか(図1)。「はい」と答えたのは、39%の230人である。メンタルヘルス問題に関心がある人が回答しているというのもあるが、それにしても約4割がメンタルヘルス不調というのは見過ごせない数値の高さである。

図1●Q1.あなたは自分のメンタルヘルスに不調を感じますか。
図1●Q1.あなたは自分のメンタルヘルスに不調を感じますか。

メンタルヘルス不調を感じる人(Q1で「はい」と回答した人)が、いつ頃から不調を感じるかを聞いたのがQ2だ(図2)。すると半数の116人が「5年以上前から」と答えた。問題が長きにわたっていることが分かる。

図2●Q2.Q1で「はい」と答えた方にお伺いします。いつ頃から不調を感じるようになりましたか。
図2●Q2.Q1で「はい」と答えた方にお伺いします。いつ頃から不調を感じるようになりましたか。

リーマンショック後の不景気がIT業界のメンタルヘルス問題に大きく影響しているのかを確認するため、「3年前(リーマンショック後)」という選択肢も用意したが、5年以上前からの回答が2倍以上も多かった。

後ほど紹介する図6で、メンタルヘルス問題に影響を与えていると考えられるものを複数回答で選択してもらっているが、「不景気」という外的要因はトップ5には入っていない。それよりも、職場の内的要因を理由に挙げる人が、圧倒的に多い。

そして、大きな問題は次のQ3だ。メンタルヘルス不調を感じる人(Q1で「はい」と回答した人)が、上司や人事部門に相談を持ちかけたり、不調を訴えたりしたか(図3)。何と68%の165人が「いいえ」と回答した。

図3●Q3.同じくQ1で「はい」と答えた方にお伺いします。上司や人事部門などに相談を持ちかけたり、不調を訴えたりしましたか。
図3●Q3.同じくQ1で「はい」と答えた方にお伺いします。上司や人事部門などに相談を持ちかけたり、不調を訴えたりしましたか。

これだけメンタルヘルス問題がクローズアップされるようになった現在でも、会社に相談できずに悩み苦しむ人が多いのが実情なのである。

メンタルヘルス問題の難しさは、ここにある。とにかく、言い出しにくい。長期化する理由の1つは、ここにあるだろう。

「メンタルヘルス不調を会社に申し出れば、評価が下がって、現状通りの職場復帰は不可能なのが実情だ」(50代、男性、ユーザー企業)という声も寄せられていた。

メンタルヘルス問題に向き合う会社は「半分程度」

ここで目先を変えて、全ての回答者に「あなたの周りにメンタルヘルスの不調と思われる従業員はいますか」と聞いたのがQ4だ(図4)。すると、69%の400人が「はい」と答えている。つまり、メンタルヘルス不調はほとんどの会社で、決して珍しいものではない。

図4●Q4.あなたの周りには、メンタルヘルスの不調と思われる従業員はいますか。
図4●Q4.あなたの周りには、メンタルヘルスの不調と思われる従業員はいますか。
にもかかわらず、「会社はメンタルヘルス問題に真剣に取り組んでいると思うか」という問いの答えは、こうだ(図5)。ちょうど半数ずつ、「はい」と「いいえ」に分かれた。

図5●Q5.あなたの会社は従業員のメンタルヘルス問題に対し、真剣に取り組もうとしていると思いますか。
図5●Q5.あなたの会社は従業員のメンタルヘルス問題に対し、真剣に取り組もうとしていると思いますか。

「いいえ」と答えた人の会社では当然ながら、周囲に相談しにくいだろうし、問題は長期化する。この割合をそのままIT業界全体に当てはめるのは無理があるにしても、半数近い会社でメンタルヘルスに対する社内体制の整備が遅れているのかもしれない。

「メンタルヘルス不調者に『頑張れ』とは言えないし、現場での対応は難しい。気軽に相談できる専門医や窓口などの体制整備が必須」(50代、男性、SI/コンサルティング)といった声が聞かれる一方、「当社にもメンタルヘルス不調による長期休職者が複数いたが、復職プログラムの整備で随分と改善した」(50代、男性、その他)という制度改善の効用も報告されている。

最後に複数回答で、メンタルヘルス問題に影響を与えていると思われる項目を選んでもらった(図6)。上位の5つは「マネジャーの能力不足やパワハラ」「職場のコミュニケーション不足」「人手不足」「長時間残業」「人事制度の不具合」となる。先述した通り、「不景気」は7番目にすぎない。

図6●Q6.メンタルヘルス問題に影響を与えていると思われるものはどれですか。当てはまるものを選択してください(複数回答可)。
図6●Q6.メンタルヘルス問題に影響を与えていると思われるものはどれですか。当てはまるものを選択してください(複数回答可)。

それよりも、IT業界で働く管理職のマネジメント能力や従業員同士のコミュニケーション、そしてIT業界が抱える人手不足や長時間残業という構造的な問題が、従業員の心に重くのしかかっていることが分かる。

「メンタルヘルス問題は再発性が高いのが特徴。特に職場復帰後の受け入れ体制について、管理職への教育が必要だと考えられる」(40代、男性、その他)という意見もある。

組織風土や文化、人事制度も、IT業界が改善すべき喫緊の課題だろう(関連記事:971人の回答から見えたIT業界の悲しい組織風土の現実、半数が「同僚のことをよく知らない」)。

最後に1つ、私がこれまでメンタルヘルス問題を取材してきたなかで感じてきたことを追記しておく。影響を与えている項目の最後に「家庭やプライベートの問題」という選択肢を加えたのは、メンタルヘルス問題は「プライベートと仕事の複合要因」で発症するケースが多々あるということからだ。

メンタルヘルス問題に前向きに取り組む企業ほど、会社が設ける相談窓口では「プライベートな悩みまで含めた自由な相談」を受け付けていることが多い。未婚者なら恋愛の悩み、既婚者なら家庭や夫婦、子供、親の問題など。これらの問題に加えて、職場でも人間関係などに苦しむようになると、ある日突然、心が折れる時があるようだ。

メンタルヘルス問題に限っては、必ずしもプライベートと仕事を分けて考えることはないのかもしれない。

自由意見にも様々な声が集まった。回答者の生の声を最後にまとめておく。参考にしてほしい。

様々な原因で、顧客と会社の板挟み状態に陥ることがある。その状態を敏感に察知し、手を差し伸べることができる上司や同僚が少ない。その結果、ストレスで押しつぶされてメンタルヘルス不調に陥ることが多いのではないか。商習慣的な側面もあると思う。(60代以上、男性、ユーザー企業)
形式的なメンタルヘルスへの対応研修は実施されているが、具体的な方法や改善策が示されない。現場任せになっている。(50代、男性、IT関連ハード/ソフトのメーカー/ベンダー)
最近、周りに中間管理職でのメンタルヘルス不調の人が多い。人手不足のため、中間管理職に負担がかかっていると思う。(40代、男性、SI/コンサルティング)
ソフトウエア開発はお互いの開発内容が異なり、パソコンに向かう作業も多いため、コミュニケーションが取りづらいことが多い。人と人とのコミュニケーションとなる潤滑剤が必要だと思う。(60代以上、男性、SI/コンサルティング)
残業が当たり前という気風がある。効率よく仕事をこなして定時に帰ると、暇と見られたりするのがその最たる例。非常にやる気が削がれるので、何とかしてほしい。コスト的にもおかしいはずなのに、効率が悪くても、長時間働いている人がよいと見なされるなんておかしすぎる。(30代、男性、SI/コンサルティング)
IT業界では顧客企業の理解が必要だが、ほとんど考慮されることはない。(50代、男性、SI/コンサルティング)
IT関連業務は機械的な作業が連続するなど、精神的に追い詰められやすい。適度な休憩や休暇をうまく活用して気分のリフレッシュをするように私は努めているが、それも上司の理解があって初めて成り立つことだと思う。上司との信頼関係や理解を得られるような関係または制度が求められる。(40代、男性、ユーザー企業)
私も一時期、自律神経失調症になりかけた。相談できる窓口が必要だと思う。その窓口が、会社と完全に独立していることが重要だと感じる。(30代、女性、SI/コンサルティング)
ICTが日常業務の随所に組み入れられた結果、システムの複雑化や障害発生時の影響度合いが大きくなり、止められないシステムがほとんどになっている。システム保守などは日中に行うことができず、夜間・早朝の対応が当たり前。障害への対応も常に緊急事項となり、昼夜を問わずに対応を迫られる。これらに携わるシステム部員の精神的なストレスは年々高くなっている。(50代、男性、ユーザー企業)
客先への常駐エンジニアに、メンタルヘルス不調者が多い。職場でのサポート不足や常駐先の環境などに対する法律があってもいい気がする。(30代、男性、SI/コンサルティング)
(引用おわり)

 

 

IT業界に関する記事ですので、特有の事由があると思いますが、長時間の沈黙と、パソコンとのにらめっこ、その上長時間残業に上司のマネジメント不足とパワハラ・・・・・ この中でも私が注目したのは、「コミュニケーション不足」です。

私は、前回、パワハラが起こっている職場は挨拶が無い、と言いました。

挨拶が無いということは、すなわちコミュニケーションが欠如している、ということです。

会話は、人の心を支える大事なものです、コミュニケーションの核、といっても良いかもしれません。

何気ない話をする、何気ない話ができる環境を作る、というのは、明るい職場作りには欠かせないものだと思います。

業務上、沈黙が長く続くのは、IT業界、特にシステムエンジニアの宿命かもしれません。しかし、長時間の沈黙は、心が膿み、いびつになる要素があるということだと思います。

私はメンタルヘルスの専門家ではないので、感じたことを述べているだけですが、日々パワハラに対処する立場から見ても、コミュニケーション不足が、上司のパワハラにつながっているような気がしますし、マネージメント能力の育成に大きな阻害になっているような気がしています。