パワハラ防止を通して職場環境の改善を創造する職場環境改善工房

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事例紹介・お知らせ

パワハラ相談事例から: 派遣元社員の対応

2014年12月12日

最近、派遣で働いている方から、派遣元の担当者との関係で悩んでいるという相談をよく受けます。そこには、パワハラの事例もあります。

・就業するにあたり、派遣元のおかしな部分を指摘したところ、担当者が嫌がらせをはじめて、精神的なショックをうけて、働けなくなった。

・病気になり、ドクターストップがかかって、派遣先の合意の下で休んでいるのに、派遣元の担当者が、執拗に出勤を促してくるばかりか、派遣先での飲み会への出席まで督促してくる。



派遣先との関係は問題が無いのに、派遣元の担当者との間に問題を抱え、どう対応したら良いかわからないと悩む、派遣社員の方は多いのです。

こういうケースの場合、まず、派遣社員さんに心得ていただきたい事は、

「派遣社員さんも、働く人であり、雇う側(派遣元)には、働く人の人権や権利を遵守しなければいけない義務がある」ということです。

ですから、派遣元社員が、派遣社員さんに対して、嫌がらせをしたりすることは許されません。

派遣社員に対して、派遣会社の担当者が芳しくない対応をする場合は、その旨をキチンと本人に伝え、派遣元会社の上司や相談窓口にも、そのことを伝えましょう。

(患者を生きる:2658)働く 職場のうつ:5 体調記録し言動を自制

2014年12月11日

2014年12月22日 朝日新聞の記事です。

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11468673.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11468673

 

 

【引用はじめ】

うつと、軽い躁(そう)を繰り返す。電機メーカーを休職中だった東京都の男性(42)は2009年8月、双極性障害と診断された。復職に向けたリワークプログラムのため、メンタルクリニック「メディカルケア虎ノ門」(東京)に通い始めて2カ月余り後のことだった。

五十嵐良雄院長(65)の指示で、多いときは6種類だった薬は、気分の波を小さくするための「気分安定薬」など2種類になった。双極性障害は気分安定薬などの薬物療法とカウンセリングなどの精神療法を組み合わせるなどして治療する。

軽い躁のときは調子がよく感じられ、つい頑張ってしまいがちだ。しかし、実際には心身の状態はそこまで戻っていない。頑張りすぎると、うつへと転じたときに、また体調を崩してしまう。

復職と休職を5回繰り返してきた男性は「もう同じ失敗はしない」と心に決めた。

自分の行動や細かな体調の変化を記録するようにした。「人に会うなどよく動いた」が「疲れていない」と記録した日は「軽い躁のサインかもしれない」と考え、翌日から数日間は言動が多くなり過ぎないように気をつけた。

気分が躁に傾いていると、人に対してきつい物言いをしがちだ。「自分でも気をつけますが、気付いたら一声かけてください」。あらかじめ自分の状態を周囲に伝えておけば、人間関係は円滑になる。復職したときの予行演習と考え、集団で作業するプログラムのときなどに実践した。

仲間の存在は大きかった。病気のことを気兼ねなく話し合え、心の支えになった。このときよく話した仲間とは、現在でも時々、情報交換している。

プログラムは約9カ月で終了。10年2月、職場に戻った。11年5月、薬を減らし始め、12年11月、服薬治療が終了した。

「周囲に評価されたい。そのために最善を尽くすべきだ」。かつては、そんな思いが強かった。でも、「無理をしてひととき頑張ってつぶれるよりも、仕事を継続できるようにすることのほうが大切だ」と考えるようになった。

「今の自分」にできることで、会社や社会に貢献したい。家族を幸せにしたい。そう考えている。

【引用おわり】

(患者を生きる:2657)働く 職場のうつ:4 交互に襲う「二つの波」

2014年12月10日

2014年11月21日 朝日新聞の記事です。

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11466701.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11466701

 

【引用はじめ】

勤務先の電機メーカーで休職と復職を繰り返すこと5回。東京都のシステムエンジニアの男性(42)は2009年5月、メンタルクリニック「メディカルケア虎ノ門」(東京)のリワークプログラムを受けることになった。

うつで休職中の人たちが復職をめざす。プログラムはクリニックで05年に始まった。

それは、「もう一つの職場」のようだった。通勤電車に揺られ、午前8時半過ぎにはビルの一室に参加者が集まる。9時から朝のミーティングがある。体を動かす卓球や、読書、パソコンでの資料作成、うつ病の病態や治療方法などの基礎知識を学ぶ時間もあった。健康管理の方法などをグループで話し合い、資料にまとめて発表するような内容もあった。

週1日から、徐々に2日、3日、4日、5日と増えていった。

自分の病気や休職の原因などを振り返り、報告書をまとめる。そんなプログラムに取り組んでいたある日、転機があった。

一緒にプログラムに参加していた仲間が、突然休んだ。「前日まで元気すぎるほど、元気だったのに」。後日、ようやく姿を見せたときには、別人かと思うほど落ち込み、体調を崩していた。ほとんど言葉を口にせず、ずっと下を向いたままだった。

自分もこんな感じだったのかもしれない。これほど極端ではないにしても、自分のなかで「元気だ」と感じていると、活動が多くなる。よく話すし、予定も多く入れがちだ。だが、その後に気分が落ち、それに併せて体調を崩す。この「二つの波」が交互にやってきている、と思った。

報告書を提出した後、男性は五十嵐良雄(いがらしよしお)院長(65)から「双極性障害」と診断された。憂鬱(ゆううつ)な気分がずっと続く「単極性」のうつ病と異なり、躁(そう)とうつを繰り返す状態だ。躁のときは「元気だ」と勘違いし、活動が多くなりがちだ。しかし、それはその後、体調悪化となって自分に跳ね返ってくる。しかも男性は、躁の状態が比較的軽く、本人も周りも躁だと気付きにくかった。

「二つの波」を把握し、軽い躁のときは、活動が多くならないように意識する。再休職を防ぐにはそれが大切だと、男性は思った。

【引用おわり】

(患者を生きる:2656)働く 職場のうつ:3 思い描いた未来、違った

2014年12月9日

2014年11月20日朝日新聞の記事です。

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11464745.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11464745

 

 

 

(引用はじめ)

「また、うまくいかなかった」。東京都のシステムエンジニアの男性(42)は2006年6月、3回目の休職に入った。職場では薬の影響もあったのか、眠気を抑えられず、日中にウトウトと居眠りをする状態だった。

職場に行くと体調が崩れる。医師に訴えると、薬の種類や量は増えた。多いときには、抗うつ薬や睡眠薬など6種類。自分の判断で増やしたり減らしたりしたことはなく、医師の指示を守ってのんでいた。

その後も復職と休職を繰り返した。03年に最初の休職をしてから、08年までに計5回。「繰り返しの原因は何なのか?」。自分でもよくわからなかった。

きつい仕事の担当からは外してもらったり、一日の仕事量を計画的に配分したりした。健康管理を心がけ、サプリメントもとるようにした。対策をとって復職しても、うまくいかない。

休職すると熱や腹痛もおさまり、働けそうな気になる。でも、いざ復職するとまた体調が悪化する。薬が増えるにつれて眠気も強く出る。

眠気の原因を探ろうと、睡眠時無呼吸症候群の検査をしたこともある。だが、結果は違った。

会社の人事担当者らの目は厳しくなった。主治医から「復職可能」の診断が出て復職を希望しても、「本当に働けるのか?」と疑いの目で見られた。

休職中は健康保険の傷病手当金が出ていた。このため「休職制度を利用した詐欺行為」と人事課から非難されたこともある。

生活は厳しく、就職して間もない頃に結婚した妻が働き、支えてくれていた。妻に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

気がつけば、就職当時に思い描いていた未来とは、まったく違う場所にいた。

家族を持ち、マイホームを建て、職場でも順調に地位を確立していく。こんなはずじゃなかった。いま、俺はこんなところで何をしているんだ。

09年5月、会社から、復職のためのリワークプログラムを受けるように言われた。東京都港区にある、メンタルクリニック「メディカルケア虎ノ門」との出会い。それが立ち直るきっかけになった。

【引用終わり】

コラム:相談から。 【これはパワハラだ! 損害賠償を請求したい!】

2014年12月8日

最近、月に一、二回のペースで相談を受けるようになって来ました。

 

このごろは、ネットでも、パワハラに対する対処法を書いてありますから、

 

ある一定の答え、しかも自分にとって都合の良い、答えを作った上で、相談に来られる方がいます。

 

その典型が・・・・・・「もう職場にはいたくないから、職場から離れた上で、損害賠償を請求したい。」という相談です。

 

ある程度、ネットなどでいろいろ調べられてから、私のところに相談に来られるものですから、相談者の方は、「損害賠償を確実に取る方法を教えて欲しい」と暗に私に言ってくるのです。

 

そういう場合、頭の中は、

「私のケースは絶対にパワハラだ」

「証拠もあるぞ」

「これで損害請求できるはず」

と思い込んでいますから、私が

 

「それは、グレーゾーンで、損害賠償請求は難しいですよ。」

「損害賠償よりも、貴方ご自身が、ハラスメント防止の為の環境改善の動きをされたらどうですか?」

 

と申し上げても、躊躇される方が多いのです。

 

これはパワハラだ⇒パワハラのせいで私は酷い目にあっている⇒損害賠償を請求できる。

 

というマインドですから、職場に留まりつつ、ハラスメントの非を認めさせ、職場の環境を変えるという事自体が、自分の求めている「お金=損害賠償」から離れていき、受け入れがたいのだと思います。

 

ただ、パワハラの対応の基本は、あくまでもお金ではなく、パワハラを防止させ、職場の環境を整えさせることを、求めていくことです。

 

はじめから、「損害賠償」をとることを目的としては、結局は一番望ましくない結果しかえられないのです。

 

■その他パワハラについて知りたい方は以下をクリックして下さい

パワハラの証拠の残し方を知りたい方はこちらを参照ください。

人事・総務の方へ、パワハラの相談対応について知りたい方は、こちらを参照ください。

パワハラをパワハラ防止の観点からどのように分析していけば良いのか、知りたい方はこちらを参照ください。

パワハラの無い職場とはどのようなものなのか、知りたい方はこちらを参照ください。

パワハラ関連の裁判の訴状は、実際にどのように書かれるのか、知りたい方はこちらを参照ください。

職場のパワハラにお悩みの方は、こちらをご覧ください

介護業界における、パワーハラスメントのアンケート結果。

2014年12月6日

介護業界で働く方で構成される労働組合、《UAゼンセン日本介護クラフトユニオン》がパワーハラスメントに関して、

2014年10月26日にアンケート結果を公表いたしました。

http://www.nccu.gr.jp/topics/detail.php?SELECT_ID=201409020002

 

 

介護業界におけるハラスメントの実態が窺い知れる貴重なアンケート結果であると思います。

 

【引用はじめ】

NCCUでは、6月24日から7月7日にかけて、介護業界におけるハラスメントの実態を把握し、安心して働ける環境づくりの推進に向けた資料として活用するために「職場のハラスメントについて」のアンケートを実施しました。
現在、職場におけるハラスメント被害が社会問題化しています。ハラスメントはその判別にあたっての基準があいまいなため、ハラスメントと特定しにくく、加害者がハラスメントをしている、被害者がハラスメントを受けているという意識がないことも多いのが実態です。結果は、ハラスメントを「受けていない」とする人が55.9%でしたが、受けた中で最も多かったのは、「上司からのパワーハラスメント」でした。しかし、そのことを誰かに相談した人は47.9%であり、半数以下となっています。相談しなかった場合の理由は「相談しても解決しないと思ったから」が48.7%となっており、最初から諦めている傾向がうかがえます。
相談した場合の相談相手は「上司」「同僚」で約7割となり、「所属法人の相談窓口」はわずか1.7%という結果となりました。相談窓口が設置されている法人も多いことから、「ハラスメントについては法人に相談しにくい」または「相談窓口が組合員に周知されていない」ということが考えられます。
また、相談した場合でも、問題解決に向けて「対応してくれなかった」場合が56.4%となっています。「対応してくれなかった」場合のその後の状況は、「自ら退職」した組合員や「異動、転勤」となった組合員等、現状を変えることによってハラスメントから逃れている傾向があります。
NCCUは、2010年から「職場のハラスメント対策」の活動を行っています。今後も、組合員が自ら知る活動、ハラスメントの発生しづらい職場環境の整備に向けての取り組みを継続し、働きやすい職場作りを推進していきます。
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【引用おわり】

 

介護の場合、ハラスメントの特徴として、「利用者」からが多いことが上げられます。

そして、「利用者」のハラスメントへの対応が不十分で、職場環境が悪化し、離職率が高くなる原因になっています。

「パワハラで自殺」認定、7千万円賠償命じる 福井地裁

2014年12月5日

朝日新聞2014年11月29日の記事です。

http://www.asahi.com/articles/ASGCY00QPGCXPTIL02N.html

 

 

(引用はじめ)

福井市消防機器販売会社「暁産業」の男性社員(当時19)が自殺したのは上司のパワーハラスメントなどが原因として、父親が会社と上司に約1億1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、福井地裁であった。樋口英明裁判官は「仕事上のミスに対する叱責(しっせき)の域を超えて人格を否定し、威迫する典型的なパワーハラスメントといわざるを得ない。心理的負担は極めて強度」と認め、会社と上司1人に約7260万円の支払いを命じた。

判決によると、男性社員は2010年2月からアルバイト、同4月から正社員として働き、10年12月に自宅で自殺。上司から日々注意された内容が書かれた手帳には「死んでしまえばいい」「辞めればいい」「ウソつき」などの暴言が残されていた。

(引用終わり)

職場の悩み、パワハラや解雇の解決支援の無料相談会が8日に、東京都社労士会館で行われます。

2014年12月5日

2014年12月4日 朝日新聞からの情報です。

http://www.asahi.com/articles/ASGD15J71GD1ULFA02N.html

 

(引用はじめ)

残業代の不払いなど職場で悩みを抱える人を対象に、8日の午後1~8時、東京都社会保険労務士会館(千代田区)で無料相談会が開かれる。パワハラや突然の解雇などの解決を社会保険労務士が支援する。5日までに、都社会保険労務士会に申し込む。当日は電話(0120・66・4864)でも相談できる。詳しくは事務局(03・5289・0751)。

(引用おわり)

【こんにちは!あかちゃん 第23部】これってマタハラ?<5完>竹信三恵子さん 杉浦浩美さん

2014年12月4日

2014年11月15日 西日本新聞の記事です。

http://www.nishinippon.co.jp/feature/life_topics/article/127256

 

 

(引用はじめ)

《マタニティーハラスメント(マタハラ)という言葉によって、働く女性が妊娠で直面してきた長年の問題がようやく認識され始めた。私たちは今後どうこの問題に向き合えばよいか、識者2人に聞いた》

 ●和光大学教授(労働社会学) 竹信三恵子さん 「標準労働者」の転換を

マタハラを防ぐ法律はある。だが罰則規定がなく、企業名を公表する制裁制度は1度も使われていない。企業は現状でいいと思い、労働者は言っても駄目だろうと我慢してきた。行政はより厳正に対応すべきだ。

根っこにあるのは労務管理の問題。日本の「標準労働者」はいまだに、妻がいて育児や介護に時間を取られず、会社の言うとおりに残業や転勤ができる「働く機械」が求められる。それに合わない働き手は男性でも排除されてしまう。マタハラはその一例なのだ。

マタハラで受ける心の傷は根深い。子どものせいでひどい目に遭ったと思う一方、そう考える自分を責め、子育てに喜びを持てなくなる人。ハラスメントを免れる夫に腹が立ち、夫婦仲が悪くなる人。会社が嫌になって働く意欲まで失う人もいて、社会的損失は大きい。

片や産まない女性や産めない女性も、しばしば子どもがいないことでハラスメントを受けている。「子どもがいないと一人前じゃない」「産むべきなのに『働く機械』になっている」などと。だから「仕事も子どもも両方ほしいなんてわがまま」という怒りを抱きがちで、女性が力を合わせて闘うことが阻まれている。

女性が生きていれば、子どもを産むこともある。男性も病気になったり、誰かを介護したりすることもある。こうした状況に働き方を寄り添わせる、ごく当たり前の労務管理が欠けていた。「標準労働者」のあり方を転換していく必要がある。

 ●立教大学社会福祉研究所特任研究員(社会学) 杉浦浩美さん 男社会の経営感覚甘い

マタハラと聞くと、「ひどい会社だね。うちでは妊婦も元気に働いているよ」と他人ごとのように言う人もいる。本当にそうだろうか。妊婦が弱音を吐けば「だったら辞めれば」「無理しなくていいじゃない」と言われかねない。だから仕事を続けたい女性たちは、周囲に迷惑をかけないよう「元気」に頑張ってしまい、頑張りすぎて流産してしまう人もいる。「ぎりぎりまで頑張る働き方が当たり前」という職場文化も、構造的なマタハラだと気づいてほしい。

「会社は利潤の追求が使命であり、甘いことは言ってられない」との議論が必ず出るが、逆に、そんな考え方こそ「甘い」のではないか。少子高齢化で労働人口の減少が進む中、いろいろな「事情」を抱えた人を排除していたら働き手はいなくなる。事情も織り込み済みの経営が求められている。

日本の職場はこれまで「働く妊婦」について学んでおらず、妊婦を過剰に排除したり、逆に過少な配慮で必要な措置も与えていなかったりする。学習すれば、「大したことじゃない」と分かるはずだ。

「女性の活躍」を掲げる政府の意識も気になる。問題はどんな女性が活躍するかだ。例えば政府は、家事支援をする外国人労働者の一部受け入れを目指している。これは働く女性の家事や育児の負担軽減を減らして、男性並みに働けということであり、男性社会を勝ち抜く女性しか活躍できないシステムなら、従来と何ら変わらない。

=おわり

(引用おわり)

【こんにちは!あかちゃん 第23部】これってマタハラ?<4>問われる経営者の意識

2014年12月3日

2014年11月14日西日本新聞の記事です。

http://www.nishinippon.co.jp/feature/life_topics/article/127040

 

(引用はじめ)

「産休が大事なのは分かる。でも現実問題として経営が苦しくて」。九州南部で観光ホテルを運営する茂雄さん(50代)=仮名=はこう明かす。

東日本大震災後、防災対策が最優先課題となり、建物の耐震診断だけで約1200万円かかった。改修には億単位の資金が必要で手を付けられずにいる。増税や物価上昇なども追い打ちをかけ、ここ数年で知り合いのホテル四つが廃業した。「明日はわが身。福利厚生にはお金を回しにくい状況なんです」

結婚した女性従業員は、産休制度を使うことなく自ら辞めていく。退職を促したことは一度もないので、マタニティーハラスメント(マタハラ)ではないと思う。「でも(経営状態が)無言の圧力にはなっているかもしれない」。心苦しいが引き留める余裕はない。

中小企業の労務管理をサポートする社会保険労務士の多比良修さん=福岡市=は「どの会社も人員をぎりぎりまで削っている。休業中の代替えを雇えず、カバーする既存の従業員が疲弊している例もある」と話す。

国も手をこまねいているわけではない。今年4月から産休中の社会保険料を免除。育児休業中に代替要員を確保した中小企業には、休業取得者1人あたり一時金15万円の助成なども行っている。

申請手続きや人員調整の手間を嫌がる企業はまだ多い。多比良さんは「それでもここ1、2年で経営者の意識が変わってきた。産休や育休に対する理解が進み、『時代の流れであり仕方ない』と考えられるようになった」と感じている。

《「仕方ない」ではなく「当たり前」と考え、従業員の育児を後押しする経営者や管理職は「イクボス」と呼ばれる。企業数の9割超を占める中小企業の「ボス」は、産みやすい職場づくりの鍵を握っている》

福岡市の健康食品通販会社「すこやか工房」(正社員12人)はパート従業員にも積極的に産休を取得させ、育休には上限を設けていない。社長の光本智恵子さん(61)は「新たな人を雇って一から育てる方がずっと大変だから」
と話す。

注文電話などに対応する「お客さま係」の坂本佐知子さん(37)は1年で復帰予定だったが、保育所に空きがなく半年延長した。今は長女(2)の迎えに間に合う午後4時まで働き、急な病気などで早退や欠勤することもある。「遠慮なく休ませてもらうから、なおさら一生懸命働こうと思える。他の人が大変なときも協力し合っている」

同じ部署のパート10人のうち2人が産休中、3人が復帰組。勤務時間や日数は事情に応じて決め、1日4時間の人もいる。欠員は新たなパートで補充し、フルタイムで働けるようになれば、正社員登用の道もある。

光本さんは「トップが本気で変われば会社は変わる」と力を込める。「目標を共有できる従業員は会社の財産。最近は就職活動中の学生から育休の取得率を聞かれることも多く、これからは女性が働き続けられる会社が評価され、よい人材を集められる」と自信を見せた。

(引用終わり)